スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
ナ・リーグの好投手とDH制。
~リーグによる投手の負担の違い~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2015/03/21 10:40
3月17日に右ひじ靱帯の修復手術“トミー・ジョン手術”を受けたと発表したア・リーグのダルビッシュ有。3月5日のオープン戦で右上腕の張りを訴えて、わずか12球で降板していた。
「野球はどうすれば楽しくなるか」を最優先に。
私は、DH制の楽しさを否定する者ではない。ただ、この制度をナ・リーグにまで当てはめてしまうと2リーグ制の面白さが失われる、といいたいのだ。もしナ・リーグがDH制を採用すれば、30球団が同じルールで6カ月間を戦い、上位10球団がポストシーズンに進出してワールドチャンピオンをめざすというフラットな光景が生まれないとも限らない。これは退屈だ。2リーグ制の魅力も色あせる。なにもいまさら、NBAやNFLの真似をしなくてもよいのではないか。
それよりも問題は、毎日のように交流戦が行われている現状だと思う。これはまちがいなく、オールスター戦やワールドシリーズの興を殺ぐ。2球団を増やして、各リーグの球団数を偶数にするのがむずかしければ、2球団を減らすという方針でもよいではないか。ビジネスが絡む以上、すんなりと結論の出る問題ではないだろうが、ここはひとつ「野球はどうすれば楽しくなるか」という快楽原則を最優先して考えていただきたいものだ。私はいま、熱戦つづきだった2011年のワールドシリーズ(カーディナルス対レンジャーズ)をぼんやりと思い出している。