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進化を続ける走塁のスペシャリスト。
巨人・鈴木尚広が語る代走の醍醐味。  

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2015/02/24 11:50

進化を続ける走塁のスペシャリスト。巨人・鈴木尚広が語る代走の醍醐味。 <Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

キャンプ休日に清水宏保氏(右)とトレーニングを行なう鈴木尚広。一度も規定打席に到達せずに200盗塁を達成した初の選手で、200盗塁達成時点での盗塁成功率は.820に上っている。

昨オフには、スケート清水宏保氏の門を叩いた。

 昨年オフ。走塁技術を向上させるために、長野五輪スピードスケート金メダリストの清水宏保氏のアドバイスのもとトレーニングに励んだ。上半身と下半身の連動性が向上すると言われている外腹斜筋を鍛え、瞬発力を効果的に発揮するための体の使い方などを吸収。春季キャンプが始まっていた2月5日にも休日を返上し、清水氏とともに足の裏の筋肉など細かいところまで力を発揮させるトレーニングを徹底して行なった。

 つまり、鈴木にとって今の走塁は成長過程にある、というわけだ。

「清水さんとのトレーニングを実戦で試している段階なんですか?」と尋ねると、鈴木は白い歯を見せながら「そうですね。これからです」と、手応えを掴んでいる様子だった。

 経過は良好。だからこそ、盗塁を刺されようとも落胆せず、前向きでいられるのだ。

 振り返れば、いくつかの例を挙げるだけでも、鈴木の足が進化していることが分かる。

 足の速さだけに頼らず、「普段の位置よりも先にあるようなイメージ」でスライディングを強化。“飛ぶ”と形容されるほど華麗な技術を身につけた。2003年にウエイトトレーニングによって腰を痛めてしまった教訓を経て、体幹をはじめとするインナーマッスルの鍛錬を行なったことで走塁時の体のブレも解消された。

走塁技術のために、人体の構造まで学んだ。

 去年もそうだった。

 つま先でスタートを切ろうとすると、どうしても重心が安定せずタイムロスが生じてしまう。そのことに気づいた鈴木は人体の構造を学び、かかとの内側を意識した走塁技術を取り入れた。そうすれば走り出しがスムーズとなり、足の疲労も軽減されるというのだ。

 向上心。これこそが、「足のスペシャリスト」の原点である。それは鈴木自身も理解している。彼は以前、トレーニング方法について自分の想いをこう語っていた。

「僕は常に新しいものを求めています。それは自分で気づいたこともそうだし、周りの方から提案いただいたものも含めて、いいと思ったら明確な方向性を決めてトレーニングをするようにしています。はじめたからといってもすぐにできるわけじゃないし、今までいろんなことを試してきましたけど、全てをマスターできたわけではない。それでも、意識をしなければ生まれ変わることはできないじゃないですか。だから、自分で決めたことを継続していくことも大事なんですよね」

【次ページ】 「『自分の世界に引き込んでやろう』と考えてる」

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