野球クロスロードBACK NUMBER
進化を続ける走塁のスペシャリスト。
巨人・鈴木尚広が語る代走の醍醐味。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2015/02/24 11:50
キャンプ休日に清水宏保氏(右)とトレーニングを行なう鈴木尚広。一度も規定打席に到達せずに200盗塁を達成した初の選手で、200盗塁達成時点での盗塁成功率は.820に上っている。
「『自分の世界に引き込んでやろう』と考えてる」
鈴木は今でも進化し続けている。
新たなトレーニングを導入した。さらに走塁技術が高くなるに違いない――。中日の谷繁元信がマスクを被るだけで、「どんなリードをしてくるのか?」と勝手に意識してくれるように、鈴木の足もまた、相手に自然と恐怖心を植え付けるのだ。
先日のオープン戦での広島バッテリーの執拗な警戒心が、まさにそうだったではないか。
鈴木はこうも言っていた。
「『自分の世界に引き込んでやろう』とは考えています。よく、『ピッチャーが投げないと始まらない』と言うじゃないですか。その時点で相手のペースになっているんで、スタートに一瞬の遅れが生じてしまうんです。だから、常に『鈴木が出てきて嫌だな』と思わせたいんですよね。ピッチャーも相手ベンチも、球場全体を自分の世界に引き込んで勝負したいんです」
技術を高めた鈴木が塁上にいるだけで相手チームはうろたえる。
今年もまた、走塁のスペシャリストがグラウンドを支配し、巨人を勝利へと導く。