ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
日本を飛び出すスポンサー企業たち。
男子ゴルフに必要な“内から外”。
text by

桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byAFLO
posted2015/02/12 10:30

2014年には2度目のマスターズ制覇も果たしたバッバ・ワトソン。日本にこのレベルのスターたちが来日する機会が増えれば、観客動員数も確実に向上するのだが……。
日本男子ツアーの問題は、海外への発信チャンネル。
LPGAのコミッショナー、マイク・ワンは、同ツアーの大会開催地が米国だけでなくアジア地域にも及ぶことから「ANAの協力で、太平洋を越えてアジア全域に新しいファンを増やすことができる」とした一方で、北米での認知度向上がANA側の大きな狙い。視線の先には、2016年のリオデジャネイロ五輪がある。ビジョンは明確だ。
一方、日本の男子ツアーは窮状が叫ばれて久しい。ただこうして見ると、その要因を景気の悪さ、日本企業の元気のなさに求めるのは疑問である。プロゴルフを通じた広告活動は、決して衰退しているわけではないからだ。
男子ツアーが抱える問題のひとつは、積極的に海外に向けて発信する手段、チャンネルが乏しいことではないだろうか。
日本ツアーを撤退し、アジアンツアーを維持した企業も。
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充実の試合数を誇る日本の女子ツアーに比べて、男子ツアーは賞金額も開催費用も高くつく。その分、大手スポンサーが納得する“うま味”を提供する必要がある。そのひとつが、海外プロゴルフに投資するような企業の欲求を満たす、グローバルな広がりのある発信チャンネルだ。
パナソニックは2008年からアジアンツアーとの協力で日本ツアーの大会を開催してきたが、経営悪化で'13年に撤退した。しかし、同時期に始めたインド開催のアジアンツアーでの大会は継続され、規模こそ劣るが東南アジアでの試合も行なっている。そこには、現地でのシェア拡大という明確な“うま味”がある証拠だ。
この流れを逆手に取れば、日本への上陸を目論む海外の企業を呼び込む考えもあっていい。
内から外へ。国際展開を考える企業のニーズを把握し、歩調を合わせることも、ツアーにいま求められる姿勢だと思う。
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