錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
自分より上位選手との試合の方が楽!?
錦織が世界5位で居心地が悪い理由。
posted2015/01/27 16:30
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Imaginechina/AFLO
試合の直後に行なわれるオンコート・インタビューや、記者会見で錦織圭が話す英語を聞いていると、昨年、膨大な英語取材を受けてきたことがうかがえる。海外での錦織に対する関心の証といえるだろう。やはり英語は寝ている間に聞き流すだけではいけないようだ。自ら考え、自ら発信する機会を重ねていなければ、こうも堂々とは話せない。
妙な確信を得ている間に、全豪オープンは2週目に入った。
上位の選手に挑戦するテニスが好きな錦織だが。
錦織は4回戦で第9シードのダビド・フェレールを6-3、6-3、6-3と圧倒し、ベスト8に駒を進めている。第5シードだから、これでようやく〈順当〉なところまできたわけだ。
錦織は以前、テニスをやっていて楽しいのは下の選手に圧勝することではなく、自分よりも上の選手に挑戦することだと言っていた。ということは、ランキングが5位まで上がってしまうと、誤解を恐れずにいえば「楽しくない」試合をより多くこなさなくてはいけない。
「そこでどれだけメンタルを強く持てるかということが、これからの課題になってくると思います」
今回はそんなことも話していたが、フェレールという選手は錦織にとっては「向かっていける」相手だった。
今や錦織より下の世界ランキング10位に落ちている32歳だが、全仏オープン準優勝のほかグランドスラムで5度のベスト4という実績があり、自己最高位は今の錦織より上の3位だ。
「序盤からいいフィーリングだった」という錦織は、その原因を「プレッシャーが少し抜けたことが大きい」と分析したが、プレッシャーというマイナス要素が薄れたというよりは、「向かっていける」という別のプラス要素が生成されたと表現したい。