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ソフトバンク連覇への“工藤イズム”。
対話力、盤石の組閣、そして厳しさ。
posted2015/01/20 10:50
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
Kyodo News
この数年、各球団がシーズンのスローガンを大々的に掲げるようになり、その個性的なフレーズも相まって、幅広いファンに浸透するようになった。
とりわけ、ソフトバンクのそれは実にユニークである。秋山幸二が監督に就任した2009年以降は特にそうだ。
『フリキレ!! 全員、全開、前進ホークス。』(2009年)
『今年はやらんといかんばい!』(2010年)
『ダ やるんダ! 勝つんダ! 超えるんダ!』(2011年)
『VV』(2012年)
『超! ガツガツ行こう』(2013年)
『俺がやる。』(2014年)
先日、2015年シーズンのスローガンが発表されたわけだが、今回もソフトバンクはファンを裏切らなかった。
『熱男』
「ネツオ」ではなく「アツオ」と読む。
高校野球のように、1球のプレーを大事にしてほしい。
自身も選考に加わった新任の工藤公康監督は、決定したスローガンの意図を会見でこのように語ったという。
「1度負けたら終わりの高校野球は1球、ひとつのプレーを大事にする。自分も高校時代を思い出して、熱くなることがある。選手もそういう自分があったはずだから、それを忘れないでほしい」
昨年まで3年間、高校野球番組「熱闘甲子園」のキャスターを務めたこともあって、野球への熱い思いが上昇したこともあるだろう。
だが、それ以上に、「情熱を持ってチームを率い、日本一を目指す」という工藤監督の所信表明に感じてならないのだ。
なぜなら、工藤監督にとって、プロ野球の監督になり、チームを頂点へと導くことは壮大な目標のひとつだったからだ。