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ド文系だけど、箱根駅伝マニア!?
吉木りさが憧れの山梨学院大を直撃。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph bySports Graphic Number
posted2014/12/26 10:40
吉木りさを囲んで満面の笑みの主将の井上君(左)、阿部君(右)、田代君(前)。箱根を驚かせることができるか。
上田誠仁監督が挑んだ、“魂”を取り戻す戦い。
そして最後は、上田誠仁監督にもお話を伺いました。
12月10日に行なわれた監督記者会見でも、「今年は優勝を」と力強く答えておられた監督。今回にかける意気込みは?
「今年はチームの“魂”の部分をもう一度見直そうと考えてやってきました。
過去、上位で戦っていたころに持っていたもの、新興大学として登場してグイグイのし上がっていったときの“何か”を近年は見失っていたんじゃないかと。そのためには何が要るかというと『優勝を目指す』という気概の部分なんだろうと考えました」
――前回の箱根路はなかなか厳しい結果に直面しましたよね。私も見ていてすごく悲しい気分になりました。
「ああいう形でタスキが途切れた責任は、すべて監督にあるんです。でも『お前たちには責任はないんだ』という話をしても、やっぱり選手たちは自分たちに何が足りなかったのかを考えますよね。箱根の後に、グラウンドのホワイトボードに書き出したんですけど、やっぱり棄権にいたるまでに予兆というか、小さなミスがたくさんあるんですよ。
例えば、去年は車の修理代がかかったとか、そういう心構えの小さなことでも、その最初に立ち返ってみようと。『エノックの疲労骨折を治せばいい』という話ではなくて、事故がたまたまエノックに起こったというだけで、誰にも起こりえたことなんだと。そういう土台から見直そうという風に考えました」
――あの棄権という瞬間は、どんな想いがこみ上げたのでしょうか?
「信じられないことがおこったなと。本当に夢の中にいるみたいで、現実感がわきませんでした。でも、あのストレスのかかる究極の状態の中で、3区以降の選手が自分の役割の走りをほぼやってくれた。今年の『Restart』というスローガンは、私がレース後に最初にかけた言葉なんです。『お前たちはもうリスタートできているんだから』と。そういう選手たちが『優勝を目指します』と言ってきたときに、できない理由を見つけるよりは、少しでも近づく方法を考えたかった。実は'92年に初優勝した時も、僕は『優勝、目指します』とは言っていないんです」
――選手が一番わかっているんですね。リベンジのかかる今回、どんな戦いを目指します?
「まず、大切なのが序盤。本流と支流がありますから、トップとは言わないまでも主流の流れに乗って走りたいですね。そこは有力校はどこも同じだとは思いますが」
――やはり今回は前半から勝負をかける!?
「今はいろんなパターンを考えている段階です。井上というエースをどこに置くのかで、うちのチームの展開も変わってきますから。そこはぎりぎりまでほかのチームの様子も考えながら悩みたいと思います」
――優勝を狙うライバルチームは?
「やっぱり駒澤大は強いですし、他にも優勝候補と言われている大学も多い、戦国駅伝になるのは間違いないです。だからこそ、挑戦者として戦って、気づいたら優勝戦線へ出ているような戦いがしたいですね」
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以上、3選手と監督にお話を聞きました。インタビュー中は笑顔も出ていた選手たちですが、いざ練習が始まるとピリピリした空気。普通の「大学生」から「アスリート」の表情に変わる、何とも言えない瞬間を見ることができました。また、緊迫した練習からは、いよいよ箱根駅伝本番が近付いているんだと感じました。
号砲の鳴る新年、彼らはどんな走りをみせるのでしょうか。私もドキドキしながら観戦したいと思っています! 最後に、上田監督とも写真をご一緒させていただきました。
がんばれ、山梨学院!