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将来のウオッカ、ブエナビスタを探せ。
阪神JFを解くカギは“スケール感”。
posted2014/12/13 08:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Kazuo Kamite
ウオッカ、トールポピー、ブエナビスタ、アパパネ……と、競馬史に残る名牝が勝ち馬に名を連ねる阪神ジュベナイルフィリーズ(12月14日、阪神芝外回り1600m、2歳牝馬、GI)が近づいてきた。今年は1番人気になる馬を予想するのも難しいほどの大混戦である。
'06年に改修され、直線の長い外回りコースで行われるようになってから、勝ち馬のタイプがそれまでと一変した。スピードタイプの馬は苦しくなり、末脚を武器とする底力のある馬でなければ勝てないレースになった。冒頭に記した4頭とも、のちに2400mのGIを勝っていることが、それを示している。
であるからして、勝ち馬を予想するには、2400mでも好勝負しそうな馬を選べばいいわけだが、キャリアの浅い2歳馬でそれを見極めるのは難しい。が、難しいとばかり言っていては埒があかないので、先に進みたい。
ココロノアイ、マックスビューティの「血」が爆発するか。
ここを勝つにふさわしいスケールをほかのどの馬より感じさせるのは、名牝マックスビューティを曾祖母に持つココロノアイ(父ステイゴールド、美浦・尾関知人厩舎)だ。
前走のアルテミスステークスでは、道中、掛かって制御不能のような状態になって一気に3番手まで押し上げるギクシャクしたレースになりながら、最後までしっかり伸び切って勝利をおさめた。全身を綺麗に使ったフォームは、桜花賞を8馬身差で圧勝した曾祖母の首の高い走法にまったく似ていないが、カッカしながら走って爆発するところなどは、「血」のなせるわざか。
尾関調教師は「前走と同じような状態で出走させられる。来年の桜花賞、オークスにつながるようなレースができればいいと思っています」と期待を寄せる。気鋭のトレーナーに翌春のクラシックをイメージさせるあたりも、ここで頂点に立つにふさわしいものを持っているからこそだろう。