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J1昇格の3クラブ、残留可能性は?
戦力、スタイル、データを徹底分析。
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戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2014/12/12 10:30
![J1昇格の3クラブ、残留可能性は?戦力、スタイル、データを徹底分析。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/9/6/700/img_9699a6fc4b6e222f261a50076ac9a3d0342791.jpg)
開幕14連勝、史上最速昇格、全クラブから勝利、など記録尽くめの一年となった湘南ベルマーレ。G大阪、柏が達成した「昇格1年目での優勝」を再現できるか。
1位昇格チームはすべて残留、というデータ。
昇格3チームのうち少なくとも1チームが1年で降格してしまう歴史も、実は1位で昇格したチームには当てはまらない。すべて残留しているのだ。自分たちにとって心強いデータを、湘南が引き継いでいく可能性は高い。
フィールドプレーヤーがポジションにかかわらず攻守に関わるサッカーは、アグレッシブでチャレンジ精神に溢れる。期限付き移籍で主力を担った丸山祐市や武富孝介は古巣へ戻ったが、90分にわたって足を止めない“湘南スタイル”はチームの遺伝子として確立された。「あれだけキツい練習をしているんだから、相手に走り負けるはずがないと思える」と永木は話す。3度目の昇格は、J1定着への第一歩となるはずだ。
タレントでは劣勢だが、松本のハードワークは本物。
チームとしてのハードワークは、松本山雅にも共通する。就任3年目の反町康治監督が鍛え上げたチームは、圧倒的な活動量を躍動感につなげている。素早い攻守の切り替えを実現しつつ、複数の選手が瞬時に同じイメージを描く。ボールホルダーを追い越していく動きの量と質は、首位の湘南にも見劣りしない。彼らが記録した勝点83は、例年なら優勝を勝ち取ってもおかしくないものだ。
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タレントの質と量については、率直に言ってJ1では下位と言わざるを得ない。J1で十分な実績を持つのは、名古屋グランパスで優勝を知る田中隼磨ぐらいだろう。シーズンオフの移籍市場に参入しても、クラブの予算規模を考えれば大型補強は難しい。
もっとも、J1昇格は補強が後押ししたものではない。個々の底上げとチームとしての成熟度を高めた結果である。「前線のタレントもこれまでと大きく代わっているわけではないのに、そういうなかで今年は攻撃的な姿勢を出すことができた」という反町監督の見立ては、厳しいトレーニングという裏付けがあったからこそだ。
サッカーの得点は、およそ4つに分類できる。セットプレー、カウンター、チームのスタイルによるもの、ミスやアクシデント、である。そのなかでセットプレーが占める割合は、3割前後で推移する。
そして、松本の強みはそのセットプレーにある。CK、FK、ロングスローなどの練度は、攻守を問わず際だって高い。トレーニングで磨き上げることができ、試合の流れに関係なく得点につなげられるセットプレーは、残留を目ざすチームの支えになるはずだ。もちろん、ディフェンスのセットプレーもきっちりトレーニングされている。
ピッチの内外でチームを支える田中は、言葉に強い決意を込める。
「自分たちの本当の戦いはこれからなんだ、という気持ちです。自分たちのスタイルを崩さずに、山雅らしく謙虚に戦っていきたい」