JリーグPRESSBACK NUMBER
J1昇格の3クラブ、残留可能性は?
戦力、スタイル、データを徹底分析。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2014/12/12 10:30
開幕14連勝、史上最速昇格、全クラブから勝利、など記録尽くめの一年となった湘南ベルマーレ。G大阪、柏が達成した「昇格1年目での優勝」を再現できるか。
磐田、千葉を倒して昇格の山形も、ハードワークが武器。
プレーオフで3つ目の昇格ワクを勝ち取った山形もまた、ハードワークを2011年以来のJ1復帰につなげた。
千葉とのプレーオフをくぐり抜けた要因に、石崎信弘監督は「戦う気持ち」の萌芽をあげた。
「身体を張ってゴールを守る。相手よりたくさん走る。気持ちの部分を強くしたいと思っていて、そういった部分が本当に逞しくなってきたのではないかと思います」
自身3度目の昇格をつかんだ56歳の指揮官の胸中では、天皇杯ラウンド16のサガン鳥栖戦が重みを持っている。J1屈指の活動量を誇る相手に、延長後半の得点で1-0と競り勝ったのだ。
「J2のチームが相手ということで、鳥栖に気持ちの緩みがあったのかもしれないですが」
そう石崎監督は謙遜するが、山形の走力は相手の熱量に左右されるものではない。
ジュビロ磐田とのプレーオフ準決勝は、GK山岸範宏のミラクルなゴールで勝利した。決勝戦はワンチャンスを生かして逃げ切った。それだけに、一発勝負のトーナメントでリーグ6位のチームが下剋上を成し遂げた、と見なされがちである。
だが、シーズン最終盤にスケジュールが立て込んでも、石崎監督はメンバーを落としていない。「気持ちの部分を強くしたいので、あえてフルメンバーで戦った」と振り返る。
タフな日程を跳ね除けてつかんだ勝利は、改めて評価されるべきだろう。同時に山形というチームが、戦う気持ちをハードワークに結びつけていることを、6位からの巻き返しは証明する。
ハードワークは、日本サッカー最大の課題でもある。
2014年の日本サッカーは、世界の舞台で成果をあげることができなかった。日本代表はW杯でグループステージ敗退に終わり、U-16とU-19は年代別のW杯出場を逃した。
個人の技術力とチームの組織力に優れる日本の代表チームが、アジアや世界の壁を越えられないのはなぜか。理由はひとつではないが、そのなかにはハードワークが含まれているはずだ。
球際に負けない。競り合いに怯まない。相手より一歩先んじる。一人ひとりが胸に宿すボールへの執念の総量が、チームとしてのハードワークとなって表れる。