サッカーの尻尾BACK NUMBER
「カットインのポイントはふたつある」
ロッベンが語る“必殺”のドリブル論。
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byShin Toyofuku
posted2014/11/25 10:40
リラックスした表情でインタビューに応えてくれたロッベン。度重なる故障を乗り越え、彼のドリブルと得点能力は磨きがかかる一方だ。
「本田は本来なら10番のポジションがベスト」
――このプレーに関しては、例えば左サイドだとシュートを狙う形には繋がりません。
「だから僕は右サイドにいるんだ。モダンサッカーの主流もそうなっている。サイドからのクロスを持ち味にするウインガーもまだいるけれど、もはや求められるものはそれだけではなくなった。ウインガーにもゴールが必要になったんだ。ただ、僕も常に100%中に行くわけじゃない。縦に抜いてクロスというプレーも、ゼロではない」
――最近では、逆足で中央へ切り込み、得点を狙わせようとする監督は多い。
バイエルンもそうだし、他のクラブもそう。サッカー界のこの流れは、僕にとっては大きなアドバンテージだった。
――ちなみに現在の日本代表も、左利きの本田圭佑を3トップの右に配しています。
「本田はVVVでプレーしていたときから知っているけど、ボールが収まるし、シュートも持っている。本来なら10番のポジションがベストだと思うけど、ミランでも得点を重ねているように、彼の得点能力を活かそうとしているんだろう。
彼はプレーメイカータイプで、スピードがあるわけじゃないから1対1で相手を抜くのは難しいかもしれない。しかし右を起点にパスで崩したり、エリア内に入ったりと、レフティならではのプレーがあの位置ではできる」
グアルディオラ就任は向かい風かと思われたが。
ウインガーとしてのロッベンの存在感がここ数年で強まっている要因は、指揮官ジョゼップ・グアルディオラにもある。
グアルディオラの就任が発表された当初、世間の反応は「ロッベンにとっては難しいものになる」というものばかりだった。ロッベンはエゴイストだからペップの哲学に合わない、と。
しかし新たな指揮官は、初めての対話でロッベンの心を掴んだという。
「あれはイタリアでのプレシーズン合宿中のことだった。初めて1対1で話したときだ。会話の内容は、戦術や今後の方向性のことじゃなかった。彼はこう言った。『人生を楽しむんだ、お前がハッピーでいることが何よりも大事なんだ、サッカーを楽しもうじゃないか』とね。強い印象を受けた。30を超えて、まだ成長できているのは彼のおかげでもある」