リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
バルサがセビージャへ逃した“大魚”。
20歳のデニス・スアレスが急成長中。
posted2014/11/20 10:30
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
AFLO
先月のクラシコをきっかけに上位争いが混沌としてきた。
重圧に屈したのか、自分を見失ったサッカーでマドリーに惨敗したバルサはその後運にも見放され(バー・ポストに弾かれたシュートが2試合で7本!)、長らく居座ってきた首位から転落。反対に、バルサに圧勝して自信をつけたマドリーが首位に浮上した。
これにアトレティコ、バレンシア、セビージャを加えた5チームが5ポイントの間にひしめき合っているのだから、二極体制がしばらく続いていたリーガにとっては好ましい状況だ。
予想を超えた好調を続けるバレンシアとセビージャのおかげといえるが、そのセビージャの新たなスター、デニス・スアレスに早くも「移籍」の噂が流れ始めた。
もっともその行き先はバルサだから、正確には移籍でなく復帰である。というのもデニス・スアレスは、今年の夏にバルサからセビージャにローンで加入した選手だからだ。
バルサBを史上最高タイの3位に引き上げ……。
セルタのカンテラ出身のデニス・スアレスは、15歳の時に「国内最高の選手」と讃えられたタレントで、ユースチームに籍を置きながらセルタBの試合にも出場していた17歳のときに、マンチェスター・シティへ移籍した。イングランドでは主にリザーブリーグでプレイし、ファンにもクラブにも高く評価されていた。
しかし、本人いわく「自分のサッカーにはプレミアよりスペインの方が合っている」ため、2年後の'13年夏、契約延長のオファーを蹴ってバルサの誘いに乗った。
その際、提示された条件は「契約期間4年のうち最初の1年はBチームで、残りの3年はトップチーム」というもの。
よって昨季は2部のピッチに立ち、自身が憧れるイニエスタやシルバを彷彿とさせるパフォーマンスで、クラブ史上最高タイの3位に貢献した。36試合で決めた7ゴール10アシストは、契約に従ってトップチームに上がる彼にとって名刺代わりになるはずだった。