サッカーの尻尾BACK NUMBER
「カットインのポイントはふたつある」
ロッベンが語る“必殺”のドリブル論。
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byShin Toyofuku
posted2014/11/25 10:40
リラックスした表情でインタビューに応えてくれたロッベン。度重なる故障を乗り越え、彼のドリブルと得点能力は磨きがかかる一方だ。
「こうしようと考えて準備することはほとんどない」
――もう何度も、我々はこの種のゴールを見てきています。パターン化されていて、当然ながら対戦相手も綿密にビデオで研究している。にもかかわらず、なぜか誰にもこの形を止めることはできません。
「ローマ戦の得点に関しては、スピードがポイントだった。右サイドでボールを持ち、一度中央のフィリップ(・ラーム)に渡した。リターンを受けて、相手に勝負を仕掛けてからシュートまでは、ほとんどワンステップだ。時間をかけず、ワンフェイクでかわせたことで、シュートへのアングルを作ることができた」
――この「形」は、どのタイミングで実行しようと決めるのでしょう?
「感覚としか言いようがないんだ。次はこうしようと考えて準備することはほとんどない。実際、フィリップからのリターンがあのタイミングであの位置に来るとは、僕も思わなかった」
「カットインのポイントはふたつある」
映像で見返してみると、確かにラームのリターンパスを受ける時のロッベンは、少し驚いているようにも見える。そこから一瞬で自分の形に持ちこみ、次の瞬間にはネットは揺れている。
ひとつの形をこれほど突き詰め、繰り返している選手はそうはいない。メッシも、ロナウドも、ネイマールも、これほど明確な形は持ってはいない。
強烈な武器だが、それは反対に相手に読まれやすいというマイナス面もある。ロッベンと対峙するディフェンダーのほぼ100%近くが、彼の左足を、カットインを予想し、制限してくる。
しかし彼は全く問題ない、と言って首を振る。
「目の前のサイドバックやセンターバックが、僕のカットインを予測していることを、僕も予測しているから。読まれてもそれを超えるプレーをこちらがすればいい。カットインのポイントはふたつある。コンマ数秒のタイミングを見はからい、自分の間合いに持ち込んで仕掛けること。そして、どれだけ自陣を固めてもディフェンダーとディフェンダーの間に必ず生まれる、小さなギャップをみつけることだ。それができれば、相手に読まれていようが問題はない」