サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
アンカーとインサイドハーフ。
遠藤と長谷部が語る、その役割とは?
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO
posted2014/11/19 16:30
長らく日本の中盤でコンビを組む遠藤保仁と長谷部誠。久々の代表戦でも息のあったコンビネーションと高いクオリティを見せ、若手に易々と世代交代をさせるつもりはなさそうだ。
シャビ・アロンソやピルロを参考にした長谷部。
「まだ、どうやっていくのか手探りの部分はあるけど、初めてにしてはまずまずやれたと思う」
長谷部は試合前に、シャビ・アロンソやアンドレア・ピルロの映像を参考にしたという。だが長谷部のアンカーの成功は、ボランチで培われてきた状況判断力など元々持っている能力の高さと、「シンプルにプレーした」ということに尽きる。難しいことをせず、シンプルにできることをやった結果、いいリズムが生まれ、このチームの課題だったボール回しがスムーズになった。
「いい面も出たけど、まだ課題が多いですね。攻撃では自分で持ち運んだり、パスを出した後、もう1回もらいにいくとかいろんなバリエーションを出していきたい。守備は、まだしっかりと連携が構築されていないのでプレスがハマらないと厳しいし、強い相手とやると危ないという感覚がある。オーストラリア戦ではシステムを変えて対処したけど、もっと自分たちで臨機応変に守れるようにしていかないといけない」
本人は自身のさらなる課題を挙げていたが、アンカーをこなすメインキャストとして長谷部が存在感を示したことは間違いない。
遠藤が“普通”にこなした、繊細かつ大胆な作業。
それでは、インサイドハーフはどういうポジションなのだろうか。
「前で仕事するポジションでしょ。後ろに最終ラインの4人とアンカーがいるんでボランチの時よりも攻撃に比重をおいて、点に絡む仕事が求められる」
その言葉通り、遠藤はふらふらっと高めにポジションを取り、前後左右にパスを散らし、「ここぞ」という時には前線に飛び出した。また、状況を見てシュートを打てるポジショニングを取り、ホンジュラス戦では豪快なミドルを決めた。
一見すると、遠藤はそれらの作業を“普通”にこなしている。そのため凄さに気付きづらいが、過去4試合でインサイドハーフに入った柴崎岳や細貝萌との違いは明確だった。
彼らは「縦に素早く」という監督の指示を守ろうとするあまり、中途半端なところでボールを失い、カウンターを喰らうケースがしばしば見られた。
だが遠藤は、時にあえて流れを止める。「監督に怒られたらやめればいいや」という感覚で、焦らずにボールを回して相手の隙をうかがい、速攻、遅攻をうまく使い分けていた。インサイドハーフは攻撃力、展開力、高い得点能力が求められるポジションなのである。