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内村航平、大本命が実力通りの金。
日本歴代最多に並ぶ15個目のメダル。 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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posted2014/10/10 16:30

内村航平、大本命が実力通りの金。日本歴代最多に並ぶ15個目のメダル。<Number Web> photograph by AFLO

金メダルの内村航平と、銅メダルの田中佑典。団体の採点に疑問を口にした内村が、個人総合では文句を言わせぬ演技で最も輝くメダルを手にした。

大本命が、全く揺るがず実力を発揮できた理由。

 今大会を前に、個人総合は内村が大本命である、いや、負けることなどあり得ないとすら思われていた。

 実際、そう思われてもおかしくないくらいの差が内村と他の選手との間にはある。内村自身、自分の実力が抜きん出ていることは自覚しているはずだ。

 だが実力差があっても、直接戦う対人競技ではなくとも、わずかな隙から敗れることがないわけではない。過去スポーツでは、本命とされた選手の失敗によって番狂わせと呼ばれる結果に終わった試合はいくつもあった。

 内村は、それすら許さなかった。「負けることなどない」と思われるほど抜きん出ていながらなお隙が生まれないのは、成績が最優先なのではなく、自分の目指している理想へ進んでいきたい、理想を体現したいという強い意志があるからにほかならない。

 それは、他者を気にしないからこその強さでもある。その精神の揺るぎなさもまた驚異的と言っていいだろう。

 この試合で、2位に入ったマックス・ウイットロック(イギリス)と4位のオレグ・ベルニャエフ(ウクライナ)はともに21歳。若いだけに、これからさらに成長してくる可能性がある。

 たとえそうだとしても、大会のたびに課題や反省を口にする内村を見ていると、これからも100%満足することなく、さらなる高みへと登っていくのではないかと感じさせられる。

内村「まだまだかな」

 24歳の田中佑典も、銅メダルを獲得した。田中にとって、世界選手権には苦い思い出もある。2011年の東京大会では、ゆかの着地で失敗して脳震盪を起こし、その後の団体決勝でも鉄棒で落下した。そうした思いを振り払い、今後への自信となるメダルだった。

 個人総合に出場できるのは1国2名のみということもあり、昨年の世界選手権銀メダルの加藤凌平は、予選で田中より下位だったため、個人総合に出場できなかった。昨年と出場選手がかわっても日本が2つのメダルを獲得したことは、あらためて個人総合での日本の強さを示すことにもなった。

「まだまだかな」

 大会5連覇を果たして、なおそう口にする内村という絶対的な存在が核となり、身近な手本になるからこその、日本男子の強さでもある。

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