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フィギュア界に現れた13歳の新星。
本田真凜はまっすぐ平昌を目指す。
posted2014/10/12 10:40
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Shino Seki
今春、関西大学中等部に進学し、8月に13歳の誕生日を迎えた本田真凜は、早くから「フィギュアスケートの次代を担う存在になるのでは」と注目と期待を集めてきた。
2011年に全日本ノービス選手権のノービスBで2位となり、翌年の同大会は優勝。昨年、12歳で本来は13歳から18歳の選手による全日本ジュニア選手権に推薦で出場し、ショートプログラムこそ13位にとどまったがフリーは2位、総合5位入賞を果たしている。
スケートを始めたのは、2歳の頃だという。
「でも、全然覚えてないです。気づいたら滑っていて、氷の上でハイハイとかしていました(笑)」
始めた当時を記憶していなくても、以来スケートは本田にとって大切な存在になってきた。
「小っちゃい時からアイスホッケーやテニス、体操とかいろいろスポーツをしていて、ピアノもしていたんですけれど、でもやっぱりスケートがいちばん楽しくて。ほかのことは全部フィギュアスケートのために頑張っていた感じです」
一生懸命答えながらも、ときどき笑顔を見せる。
「フィギュアは技術、表現のどちらも大事」
成績ばかりが注目の理由ではない。全日本ジュニアのフリーではトリプルルッツ-トリプルトウループをはじめ、3回転ジャンプを次々に成功させた。しかもトップスケーターをはじめ多くの選手が苦しむルッツのエッジエラーもなかったのである。
ジャンプの切れに加えて、表現への意識の高さを感じさせる演技も注目を集めた。
「フィギュアスケートは、技術、表現のどちらも大事です。スケートというのは、もともと滑りだけの競技だったのに、いつの間にかジャンプなどが出来たんです。プログラムは1つのストーリーだと思っているので、ジャンプが失敗してもストーリーが途切れないように演技したいです。
新しい曲になったら自分でもストーリーを作って、振り付けの先生と一緒に、そのストーリーに合わせて表現を考えていくんです。そうすればお客さんも楽しんで観てくれるかなって頑張っています」
コメントの中で何度か、「お客さん」と口にした。