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2014年のドラフトは本当に「不作」か?
高校、大学、社会人まで総チェック。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2014/10/14 10:30
右肘の痛みと付き合いながら、9月28日の明大戦では3回5奪三振で無失点の投球を見せた早大の有原航平。10月7日にはプロ志望届も提出、各球団による争奪戦に注目が集まっている。
早稲田の中村、駒澤の江越、中央の島袋。
◇中村奨吾(早稲田大・二塁手)……春のリーグは打率.239とレギュラー定着以降では最も悪い。性急なタイミングの取り方が目立ち、下半身ではなくバット操作でボールを捉えようとしていた。秋のリーグ戦も6試合で打率.250と本調子には遠いが、東大戦では下半身でボールを捉える本来の形が戻りつつあった。
◇山崎康晃(亜細亜大・投手)……1位候補の中では順調にきているが、今秋のリーグ戦は初戦の中央大戦に先発し5失点で敗戦投手。1勝1敗の第3戦では登板機会さえ与えられず、第3週の拓殖大、第4週の青山学院大1回戦の先発を1、2年生に譲っている。第5週までの成績は防御率2.43でリーグ7位。徐々に信頼感を取り戻している途中といったところだ。
◇江越大賀(駒澤大・外野手)……春のリーグ戦は打率.184と低迷した。打ちたい気持ちが強すぎ、ボールを投手寄りで捉えようとして体勢を崩すというのが悪いときのパターン。秋はゆったりとボールを待つ形が戻り、打率はリーグ13位の3割を記録、さらに打点6はリーグ3位と上位。脚力と強肩は大学屈指の高評価が与えられている。
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◇島袋洋奨(中央大・投手)……'10年の春夏甲子園大会で興南高を優勝に導いた左腕投手だが、大学4年春までの通算成績は11勝19敗と高校時代の輝きを取り戻していない。秋のリーグ戦もよくないが、拓殖大との1回戦でストレートが146kmを計測、3回戦でも同様に3番手でリリーフ登板し、148kmまでスピードアップ。復活が期待されている。
スカウトは着々と目的の選手に狙いをつけている。
以上、東京六大学、東都大学リーグ7人の過去1年間を振り返ってみた。1位候補に挙げられる選手は昔から、最終学年になると成績が下降する傾向にある。今年の有力選手はその下降具合が激しすぎるため「不作」とか「(1位の)12人さえ揃わない」と言われるのだが、徐々に復活の気配を漂わせている選手もいる。
10月7日の早稲田大対東京大戦では、隣にいたスカウトが「ブルペンに行って(有原に)『投げるな、評価は変わらんから』って言おうかな」と笑っていたが、プロ側の本音はこんなものだろう。