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2014年のドラフトは本当に「不作」か?
高校、大学、社会人まで総チェック。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2014/10/14 10:30
右肘の痛みと付き合いながら、9月28日の明大戦では3回5奪三振で無失点の投球を見せた早大の有原航平。10月7日にはプロ志望届も提出、各球団による争奪戦に注目が集まっている。
高校生では、安楽の故障がやはり最大の懸案事項。
高校生は北から順に、松本裕樹(盛岡大付・投手)高橋光成(前橋育英・投手)、浅間大基(横浜・外野手)、栗原陵矢(春江工・捕手)、岡本和真(智弁学園・一塁手)、安楽智大(済美・投手)、小野郁(西日本短大付・投手)が上位候補に挙げられている。
この中では、最速157km右腕の安楽がナンバーワン人気になっていてもおかしくない。昨年秋の国際大会、18Uワールドカップでは1次ラウンドのベネズエラ戦、2次ラウンドのキューバ戦で完封勝利を挙げ(1次ラウンドのカナダ戦でセーブを記録)、ベストナインに輝いている。しかし帰国してから右ヒジの違和感を解消できず、この夏の愛媛大会では3回戦で無名の東温高に敗れるなど本調子に戻っていないのは気がかりだ。
今年のキーワードは「リメンバー1999」。
ここまで書いてきたことを要約してみよう。
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社会人の上位候補は、高卒が多く経歴に華やかさがない。大卒は有原、山崎福、山崎康、石田、中村、江越、島袋など有名リーグの選手に精彩がない。高校生は安楽の右ヒジが本調子に戻っていない――これらが「不作」と言われる最大の原因のようだ。しかし、私は「不作」という言葉は使いたくない。ドラフトは5年くらい経ったあとでないと正確な評価は下せないからだ。
下位指名からメジャーリーグに羽ばたいた'99年の川崎や岩隈のような選手はいるだろうか。プロ志望届を提出している高校生の中では、脇本直人(健大高崎・外野手)、野平大樹(樹徳・遊撃手)、宗佑磨(横浜隼人・遊撃手)、桑原樹(常葉菊川・遊撃手)の野手陣、投手では岩下大輝(星稜)、佐野皓大(大分)あたりがその候補になる。強打はもちろん脚力と一定の守備力がある中から野手は選び、投手はストレートの速さで選んだ。
「リメンバー1999」を胸に、今後の動向を見守りたいものだ。