詳説日本野球研究BACK NUMBER
2014年のドラフトは本当に「不作」か?
高校、大学、社会人まで総チェック。
posted2014/10/14 10:30
text by
小関順二Junji Koseki
photograph by
NIKKAN SPORTS
毎年、ドラフトの時期になると「豊作」とか「不作」という言葉が飛び交う。有力な候補が多いときは「豊作」、少ないときは「不作」という具合だ。
松坂大輔(横浜→西武1位)フィーバーで沸いた'98年は、特に印象的な豊作年だった。
この年は松坂以外でも、高校生は藤川球児(高知商→阪神1位)、東出輝裕(敦賀気比→広島1位)。
大学生は上原浩治(大阪体育大→巨人1位)、二岡智宏(近畿大→巨人2位)、里崎智也(帝京大→ロッテ2位)。
社会人は小林雅英(東京ガス→ロッテ1位)、福留孝介(日本生命→中日1位)、岩瀬仁紀(NTT東海→中日2位)と上位指名組に大物が多く、下位指名でも福原忍(東洋大→阪神3位)、森本稀哲(帝京→日本ハム4位)、金城龍彦(住友金属→横浜5位)、新井貴浩(駒澤大→広島6位)など多くの個性派がプロ入りを果たした。
そして翌'99年、ドラフト前には一転して「不作」のレッテルが貼られることに。たしかに上位指名でその後成功したのは高橋尚成(東芝→巨人1位)、田中賢介(東福岡→日本ハム2位)、藤井秀悟(早稲田大→ヤクルト2位)、清水直行(東芝→ロッテ2位)くらいで“不作”の評価は正しかったように見える。
しかし下位指名に目を転じると、現在もメジャーリーグで活躍する川崎宗則(鹿児島工→ダイエー4位)、岩隈久志(堀越→近鉄5位)という名前があるので「不作」という言葉は似合わない。
1999年の「不作」によく似た今年のドラフト。
今年は、この「不作」のレッテルを貼られた'99年とよく似ている。昨年はドラフト前から社会人投手の評価が高く、実際にプロ1年目の今年、石川歩(中部大→東京ガス→ロッテ)が10勝8敗、浦野博司(愛知学院大→セガサミー→日本ハム)が7勝4敗、リリーフ投手の、三上朋也(法政大→JX-ENEOS→DeNA)が1勝4敗21セーブと好成績を残している。
彼らにくらべると今年の社会人は地味で、その経歴すらよく伝わってこない。有力選手を紹介すると、石崎剛(三和→新日鉄住金鹿島)、横山雄哉(山形中央→新日鉄住金鹿島)、野村亮介(静清高→三菱日立パワーシステムズ横浜)、守屋功輝(倉敷工→Honda鈴鹿)、加藤貴之(拓大紅陵→新日鉄住金かずさマジック)、岩佐海斗(成立学園→東京ガス)となるが、高校卒が多いことがわかる。