オリンピックへの道BACK NUMBER
世界体操銀は、リオ五輪金への道筋。
男子団体、中国との差は「場所」だけ。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2014/10/08 16:30
張成竜の得点に複雑な表情を浮かべる内村航平。自身の演技後に優勝を確信したかのような表情を見せていただけに、悔しさは察するにあまりある。
ロンドンから、差は4点縮まった。
敗れたとはいえ、1つ言えるのは、日本の強化と戦略の方向性が決して間違っていないことを裏付ける試合であったことだ。
日本男子は団体で、2004年のアテネ五輪での金メダルを最後に、オリンピックと世界選手権合わせて6大会続けて2位以下に甘んじてきた。しかもロンドン五輪では銀メダルを獲得したものの、優勝した中国の275.997に対し、271.952と4点以上の差をつけられている。だが、今大会ではリードしつつ競り合う展開へと持ち込むに至った。
6種目を通じて、出場した選手たちが大きなミスなく演じきったこと、しかも予選では大きなミスも出ながら、決勝で巻き返したメンタルにも成長が感じられた。
さらに、ロンドン五輪では全6種目に出場した内村は、今大会では平行棒に出場せず、5種目と1つ減った。
「内村と同じかそれ以上の実力を持つ選手が3人いますから」
日本代表の水鳥寿思監督の言葉だ。中国に対抗するためにスペシャリストをメンバーに加えたことで、内村のみに頼るのではなく、チームの層の厚さが増したことを示している。
目標であった、世界選手権では36年ぶり、オリンピックを含めても10年ぶりの金メダルは手にすることはかなわなかった。
それでも、今日までの強化と、最大の目標である2016年のリオデジャネイロ五輪での金メダルへの道筋は確かめることができた。
2位ではあったが、それは間違いなく収穫であった。