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期限迫るFIBAの要求、詳細が判明。
東京五輪へ、日本バスケの「正念場」。
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2014/09/26 16:30
8月30日、NBLとbjリーグによる初の合同イベントが開催された。「プロリーグ組織委員会」が設立され、話し合いも進められているが、10月末に設定されたFIBAへの回答期限は、刻一刻と迫っている。
FIBAのステートメントの文面を見てみると……。
それでもFIBAから直接ステートメントが出されたことで、その指摘項目や表現から、いくつか新しい事実が明らかになった。
新たにはっきりしたことのひとつは、(3)に指摘される高校生の国内大会とFIBA国際大会の重複について、FIBAが問題視していることだ。まず、この(3)の要求項目について、FIBAのステートメントの文を掲載しよう。
「日本の高校組織は多くの数の大会を開催していますが、そのうちのいくつかは、FIBAが国際カレンダーにおいてユース世代の国際大会の期間として定めた時期に開催されています。そのため、これらの高校は、選手たちを日本のユース世代代表チームに出したがらないという事態が起こっており、そのことが日本のバスケットボール発展に対して大きくマイナスの影響を及ぼしています」(FIBAステートメントより)
インターハイ決勝の翌日に世界選手権が開幕。
今年の例でいえば、全国高等学校総合体育大会(インターハイ)とFIBAのU17男子世界選手権の開催時期が重複した。
今年のインターハイの男子バスケットボール競技の決勝戦が行なわれたのは、8月7日。一方、U17男子世界選手権の開幕は8月8日。ぎりぎりで日にちは重なっていないが、移動時間を考えると双方に出場することは困難であり、実際、決勝に進出した明成高と福岡大学附属大濠の2校からU17代表に選ばれていた3選手はインターハイの決勝戦には出場せず、8月6日の準決勝を戦った後、U17のチームに合流して開催地のドバイに向かった。
これは、協会と学校側による妥協案だったが、将来の代表強化にもつながるアンダー世代の世界大会直前の時期に、高校と代表の二足の草鞋で活動をすることは、FIBAの目からすると、決して望ましいことではなかった。
ましてや、日本の男子代表は近年アジアを勝ち抜くことができず、A代表や年代別を含め、自力で世界大会の場に立つこと自体が15年ぶりだったのだ。その貴重な機会を、国内大会との重複が原因で、最大限に生かすことができなかったわけだ。
過去には、FIBAのステートメントにあるように、国内大会を優先して選手が代表を辞退したこともあったと聞く。FIBAはそれらの事実をかなり詳細に把握しているようで、その上で問題視しているのだ。