Sports Graphic Number SpecialBACK NUMBER
<大谷翔平・二刀流生活を徹底ウォッチ>
笑いと衝撃の一週間密着記。
text by

中村計Kei Nakamura
photograph byHideki Sugiyama
posted2014/09/26 11:30

ある時は投手として、またある時は打者として――。一人二役を担う球界の新星は、どんなスケジュールでペナントレースの日々を送っているのだろうか。グラウンドに足を踏み入れてから球場を去るまでの一挙手一投足を観察すると、大器たる所以が見えてきた。
<9/2(火)札幌ドーム>
13時50分。明日、先発予定の大谷翔平がグラウンドに現れる。いつものことながら、8頭身、いや9頭身はあろうかという抜群のスタイルにため息が出る。
手にはブルーのグラブ。足元も、ブルーのジョギングシューズ。報道陣に対し、穏やかな表情で、ほどほどの声量で、「おはようございます!」。さわやかだ。
14時。三塁ベンチ前で軽くストレッチを始める。仰向けになり、伸ばした腕で、そこを通りかかった入団5年目の大塚豊の足首をつかむ。大塚はわざとらしく顔をしかめ、大谷をにらみつけた。大谷は満面の笑み。
大塚は含み笑いを浮かべながら語る。
「あいつ、僕のことを完全になめてますからね。ま、かわいいヤツですけど。ロッカールームとかでもいきなり蹴ってきて、やり返すと、倍ぐらいの力でまた返されるんです」
大谷を観察していると、いつも先輩にちょっかいを出している。そのたび、にらまれては笑顔でかわす。大谷の「被害者」代表ともいえるのが同期入団ながら、大卒のため4つ年上の鍵谷陽平だ。
「いつも馬鹿にされっぱなしです(笑)。最近は、“半ニヤ”で、『今日もカッコいいですね』みたいなのが多いですね」
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
ウェブ有料会員になると続きをお読みいただけます。
残り: 4941文字
ウェブ有料会員(月額330円[税込])は、この記事だけでなく
NumberWeb内のすべての有料記事をお読みいただけます。