野球クロスロードBACK NUMBER
大阪桐蔭、西武で育まれた積極性。
森友哉が進む「打てる捕手」の道。
posted2014/09/02 10:30
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
NIKKAN SPORTS
堂々と打席に向かい、豪快に打球を飛ばす。その立ち振る舞いには、とても19歳とは思えない貫禄が漂っている。
森友哉はそのパフォーマンスで、瞬く間に西武ファンの心を鷲掴みにした。
プロデビューとなった7月30日のオリックス戦で、いきなり初打席に初安打をマークすると、8月14日のオリックス戦ではプロ初アーチを逆方向のレフトスタンドへ流し込み、技術の高さを印象付けた。
ここまでなら、過去にいくらでも前例がある。森が周囲の度肝を抜いたのは、むしろその後のパフォーマンスだった。
翌日の15日の日本ハム戦ではライトへ強烈な一発を放ち、さらに翌日にはセンターバックスクリーンへ叩き込んだ。史上2人目となる高卒新人による初本塁打からの3試合連続本塁打。1年目からアーチを量産した清原和博や松井秀喜ですら辿りつけなかった領域に、森はわずか9試合で到達したのだ。
ここまで18試合に出場し、打率4割1分7厘、3本塁打、4打点(8月31日現在)。「並のルーキーじゃないね」と、田辺徳雄監督代行が嘆息を漏らすのも無理はない。
たとえば、追い込まれても逆方向に強い打球を放てる対応力。打ちに行ってもボール球を見逃せる瞬発力に、それを引き出す下半身の強さ。森のポテンシャルの高さを挙げればきりがない。
初球からバットを振り切る、という新人離れ。
中でも、周囲を驚かせているのが新人離れした積極性だ。
30日のオリックス戦。6回から途中出場した森は、ファーストゴロ、レフトフライと無安打に終わったが、いずれの打席でも初球から豪快にバットを振り切ったのだ。
この日の打撃を森が振り返る。
「今日はもう、最初から『ファーストストライクを振っていこう』と決めていた。ヒットは出ませんでしたけど、しっかりとバットを振ることができたんで、そこはよかったと思います」
初球、あるいはファーストストライクからしっかりとバットを振る――。単純明快な心構えではあるが、この迷いなき姿勢があるからこそ、森は高卒ルーキーながら一軍でも臆することなく、自分が目指す最大限のパフォーマンスを発揮することができるのだ。