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人工芝のドーム球場は時代遅れ!?
筒香の事故から考える、“芝”問題。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2014/08/24 10:40
カナダ、トロントにある「ロジャーズ・センター」。世界初の開閉式ドームスタジアムとして、1989年に開業した。ここを本拠とするチームにはMLBのブルージェイズのほか、CFLのトロント・アルゴノーツがある。
人工芝の球場はメジャーにとっては“過去の遺産”。
この話題は、ここ数年ブルージェイズの関心事になっており、事あるごとにメディアから質問が飛ぶトピックとなっている。
ロジャーズ・センターと言えば、『スカイドーム』の愛称で1989年に開業した、世界初の開閉式ドーム球場として当時は内外から注目を集めていた。しかしあれから25年が経過し、現在のメジャー球界ではすっかり“過去の遺産”的存在となっている。
オリオールズのボールパーク型新球場建設を皮切りに、1990年代後半から各チームで新球場建設ラッシュが起こり、今やメジャー30チームの中で人工芝球場はレイズとブルージェイズの2チームしか存在してない(レイズは開閉式の天然芝球場建設案を発表したが、市の認可を得ることができず計画が頓挫している)。
肉体的負担が大きい人工芝球場。
では、なぜ人工芝球場が“過去の遺産”なのか。
それは天然芝球場とは比較にならないぐらい、選手に肉体的負担を強いるからだ。
それでもレイズのトロピカーナ・フィールドの場合、選手の負担を少しでも軽減するため、選手が走塁する内野部分はすべて土にしている。だがロジャーズ・センターの場合、コンクリートの上に厚さ2、3cmのカーペット状の人工芝を敷いているだけだ。
しかも、ブルージェイズだけでなくCFL(カナダのアメリカンフットボールのプロリーグ)のチームも同じグラウンドを使用しており、人工芝の状態もかなり劣悪だと言われ続けている。
そんなグラウンド上でプレーを続ける選手たちの疲労蓄積はやはり大きく、ひいては故障にも繋がってしまう。この因果関係は、今のメジャー球界では通説となっているといっていい。