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人工芝のドーム球場は時代遅れ!?
筒香の事故から考える、“芝”問題。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2014/08/24 10:40
カナダ、トロントにある「ロジャーズ・センター」。世界初の開閉式ドームスタジアムとして、1989年に開業した。ここを本拠とするチームにはMLBのブルージェイズのほか、CFLのトロント・アルゴノーツがある。
選手から不満が続出し、フロントも重い腰を上げた。
昨年のシーズン終了後には、エドウィン・エンカーナシオン選手が「こんなグラウンドでプレーしたくない」と不満を述べているし、他の選手たちからも不平不満が続いている。
さすがにブルージェイズも現状を放置しておく訳にもいかず、シーズン前に行なわれた、アンデロポウロスGMらフロント陣が出席したファンの集いで、近い将来ロジャーズ・センターを天然芝球場に変更する計画を明らかにしている。
「ブレットが2年前に左脇腹を痛めた時は、人工芝ではなく天然芝の球場だった。さらに我々はこの球場で2度のワールドチャンピオンに輝き、当時は人工芝で何の問題も起こっていなかった。自分の考えとしては人工芝を言い訳にすべきではないと思う。
だが選手たちが天然芝でプレーしたいということは理解しているし、自分もできることなら天然芝球場にしたい。だが現在あるのは人工芝の球場なのだから、ここでやっていくしかない」
安全性に加え、パフォーマンスも落ちる人工芝。
もちろん、アンデロポウロスGMが話す通り、人工芝球場が全ての故障の原因ではない。例えば、ヤンキースの田中将大投手のようなケースは球場に関係なく起こっているものだ。
だがその一方で、繰り返しになってしまうが、天然芝と人工芝では選手に与える負担は雲泥の差があり、長いシーズンを考えればどうしても、人工芝を本拠地にする選手の方が故障の可能性があがって当然だろう。
もし筒香のようなアクシデントが起こったとしても、天然芝球場ならば地面が柔らかい分、あれほどの事態にはならなかったかもしれない。
しかも、人工芝の影響はそれだけではない。
人工芝球場では選手のグラウンド上の動きに制限がかかってしまうため、必然的に天然芝球場よりもパフォーマンスにまで悪影響を及ぼすというマイナス面があるのだ。