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日本一のトレラン大会をつくれ!
100マイルレースの舞台裏 <前編>
text by
山田洋Hiroshi Yamada
photograph byToshiya Kondo/Hiroshi Yamada
posted2014/08/21 11:00
河口湖畔のスタート地点、約1400人のランナーが100マイルに挑んでいった。
UTMFのアーティスト=主役は誰なのか。
では、UTMFにおけるアーティスト=主役は誰なのか。
「フェスの主役であるアーティストは、ランナーのように参加料を払わないばかりか、出演料をもらうわけです。プロとしてパフォーマンスをして、観客を喜ばせ感動させる。じゃあ、UTMFの選手は何に対してお金を払っているのか、って考えると、走ることによって得られるであろう達成感とか満足感、つまりは感動に対してお金を払っているんじゃないか、と。だからUTMFにおけるアーティストは『感動』という無形のものになるんですね」
そうだとすれば、走る人やサポートする人だけでなく、ボランティアも運営側も、その「感動」を見たり味わったり楽しむことは、とても自然なことに思えてくる。大木さんが「ボランティアスタッフの人たちをコマとして扱ってしまうと、感動はなくなってしまう」というのもこういうことだろう。
「あそこまで大きくなると、ただのレースではない」
そして、「鏑木さんたちが面白いと思っている観点とは違うかもだけど」と前置きした上で、“イベント屋の端くれ”として100マイルのレースについて語ってくれた。
「あそこまで大きくなると、レースという言葉だけじゃ片付けられないと思うんです。一つひとつのエイドステーションがもはやフェスなんですよ。『運営=レースの運営』だと思っている人は多いけど、富士山の周り10カ所で同時多発的に行なわれているフェスを、どう連携させて回していくのか……ということを考えなければいけない。とてつもなく大きいイベントの運営なんですよ、UTMFは(笑)」
そう語る大木さんの頭の中には10年先のUTMFをどうするか、という構想もある。
「まずは地元がもっと盛り上がってくれることですね。今は行政が中心となっている側面も多いけれど、地域のネットワークでやれることが理想なんです。今年の500名の運営ボランティアスタッフのうち、地元の人は1/3もいないんじゃないかな。
楽しみ方が分かると、ボランティアももっと面白くなる。3年連続ボランティアで参加してくれている人もいて、この大会でボランティアをすること自体が目的となっている方がいるのも事実です。それが地元の若者に広まって『やろう!』という雰囲気に繋がっていくといいなって思ってます」