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日本一のトレラン大会をつくれ!
100マイルレースの舞台裏 <前編>
text by
山田洋Hiroshi Yamada
photograph byToshiya Kondo/Hiroshi Yamada
posted2014/08/21 11:00
河口湖畔のスタート地点、約1400人のランナーが100マイルに挑んでいった。
大会を支える700人のボランティア。
今年の4月に行なわれた第3回大会に、運営ボランティアとして参加したのは約500人。彼らは主に各エイドステーションでの食事や飲料の用意と、周辺のコース誘導を担う。この他にも救護班や通訳などもあり、全てを合わせると700人近いボランティアが大会を支えている。
「エイドステーションそのものは、運営会社アールビーズ社の責任者が仕切ります。なので僕たちの仕事は、各エイドステーションまで必要な人数のボランティアを送迎すること。つまり人の手配なんです」
そう話し始めたのは、通称“ハカセ”と呼ばれる大木博士さん。UTMFのボランティア組織を統括する責任者だ。御殿場市にある国立中央青少年交流の家と、本栖湖青少年スポーツセンターの2カ所に設けられたボランティアセンターの運営に当たっている。
ボランティアスタッフの拠点となっていた本栖湖青少年スポーツセンターには、男女別の部屋があり、二段ベッドやお風呂も備わっていた。
「待機用の部屋は広くてテレビもあって、そこでボランティア同士の交流もしています。3日間寝食を共にする合宿所みたいな感じですね」と教えてくれたのは、ランナーとしての抽選に漏れたためボランティアで参加したという男性だ。
700人の都合を調整しても、当日来ない人もいる。
しかし、ボランティアと言ってもそれぞれ事情が異なる。「金曜日だけOK」「土曜日に中抜けして日曜日からまた合流したい」という人もいる。中には「こんな仕事がしたい」というリクエストを出してくる人もいる。
「その日その時間が、その人にとって無理な時もあったりします。700人くらいの都合を全部パズルしていくような感じです。そして実際は来ない人もいたりする。正直、そのやり繰りはめっちゃ大変ですよ(笑)」
さらに参加者には、当日まで何の担当になるのかを言えないという。
「理由はいくつかあって、100マイルのレースって当日何が起こるか分からないんです。予測が立てられない。エイド担当だった人に、急遽誘導に回ってもらわないといけないということがよくあるわけですよ。
あとは情報管理です。公式にコース発表がされる前に時間と場所を言ってしまうと、時計周りなのかどうかとか、コースの概略が分かってしまう。ボランティアから情報が漏れるのは良くないじゃないですか」