マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
甲子園までか、プロで伸びる投手か。
「的中率85%」の見極め方とは?
posted2014/08/05 10:40
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Hideki Sugiyama
昨年、2013年の夏の甲子園大会に出場した投手の中で、秋のドラフト会議でプロ球団から指名された投手がいったい何人いるか?
果たして、ご存知だろうか。
調べてみてちょっと驚いたのだが、有田工業高・古川侑利投手(楽天4位)ただ一人だったのだ。
過去に甲子園に出場した投手に枠を広げてみても、楽天1位・松井裕樹(桐光学園)が2年の夏出場、ヤクルト5位・児山祐斗(岡山・関西)が3年の春出場、広島5位・中村祐太(関東一高)が2年春出場の3人だけ。育成指名から探してみても、中日の育成1位・岸本淳希(敦賀気比)が加わるだけであった。
プロに進みたいなら、まず甲子園に出場してそこで認められて……。そう考えている高校球児や関係者はとても多い。もちろんプロの方も、甲子園の大舞台で持っている力量の何パーセントを発揮できるのか、という目で選手たちを見ている。
しかし、甲子園に出場しないとプロに認めてもらえない、甲子園に出場したからプロの評価が上がる、というのは必ずしも当たっていないのだ。
プロ入りして、さらに進化する投手の見極め方。
夏の甲子園に出場してくる3年生投手たちはその多くが、2年半の練習で自己の能力をほぼ“MAX”まで高めた完成形の高校投手たちだ。その中に一握り、プロ入りしてさらに進化していく投手たちがいる。
では、どんな投手がさらに進化していく可能性を持っているのか?
まず、球歴を見る。
大きな故障もなく、フルに練習を続けてここまで来た投手。無事これ名馬といえばまさにその通りなのだが、逆に考えると、すでに目一杯能力が開発されているともいえる。
花巻東高時代の大谷翔平投手は、股関節周辺や肩の故障で、高校野球生活のおよそ3分の1の期間、全力投球できない状況にあった。にもかかわらず、試合で投げればコンスタントに140km後半をマークしてみせた。ならば、故障が癒えて全力で練習に打ち込んだら、いったいどんなボールが投げられるのか?
これが、伸びしろというヤツだ。