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甲子園までか、プロで伸びる投手か。
「的中率85%」の見極め方とは? 

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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photograph byHideki Sugiyama

posted2014/08/05 10:40

甲子園までか、プロで伸びる投手か。「的中率85%」の見極め方とは?<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

昨年一身に注目を浴びた松井裕樹も高校3年の夏、甲子園には出場していない。ランナーへの対応など課題は指摘されていたが、伸びしろを買われ、楽天に1位指名を受けた。

「的中率85%」の伸びる投手の見分け方。

 最後に、野球のことにそんなにくわしくない方でも、この先伸びていく投手が見抜ける方法をお話ししてみよう。もちろん100%というわけじゃないが、私の経験則では「的中率85%」と考えている。

 場面は、ピンチの時ほどよい。

 捕手のサインをのぞき込んでいる投手の顔に注目してほしい。サインに首を振って、自分の投げたいボールを投げている投手は、打者を仕留めるストーリーを自分で描いている。打者を観察しながら、ここまでの傾向も考え合わせ、たとえば「次はストレート!」。そう答えを作りながら投げている。

 捕手のサインどおりに投げているだけでは、単にミットに向かって投げているだけの投手であって、投手としての嗅覚が研ぎ澄まされることはない。

 そして、その自分が決めたボールで、できれば1球で仕留められる投手。これは、その投手の球威とコントロールが打者を圧倒したことを示している。

 多くは実力伯仲の熱戦が繰り広げられる夏の甲子園。1死二、三塁に無死満塁。緊迫の場面も幾度となく訪れることだろう。そしてテレビ観戦なら、投手の表情はよけい手にとるようにわかるはずだ。もしピンチが訪れたらそんな視点でご覧いただくのも、甲子園を、そして高校野球を、より興味深いものにしてくれるのかもしれない。

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