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岡田彰布が考える、メジャー移籍の
日本人投手はなぜ肘を壊すのか?
posted2014/08/04 11:00
text by
岡田彰布Akinobu Okada
photograph by
Sports Graphic Number
最新号が配信されました。7月31日配信号の内容を一部ご紹介します。
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今週の目次
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【1】 貯金0からV字回復した阪神……優勝の可能性は?
~貯金20を達成するための4勝2敗~
【2】 メジャーに移籍した日本人投手はなぜ肘を壊すのか?
~郷に入っては郷に従え!?~
【3】 読者の質問に「そら、答えるよ」。
~岡田彰布のズバリ回答~
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【2】 メジャーに移籍した日本人投手はなぜ肘を壊すのか?
~郷に入っては郷に従え!?~
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──ヤンキースのマー君、肘の故障で離脱してしまいましたねえ。
岡田:そうやなあ……残念やな。
──故障知らずのイメージが強かったマー君が、肘の故障で離脱というのはショッキングなニュースでしたが……読者からもこんな質問が届いています。
【Q】:田中将大投手が故障したことについてどう思われますか? 原因が、これまでの累積投球過多だとか、スプリットの投げ過ぎとか、メジャーの中4日が原因だとか言われていますが、実際のところ何が原因なのでしょうか? 防ぐことはできるのでしょうか。
(ダイチさん)
岡田:よく言われてることやけど、ボールの滑り具合とマウンドの硬さ。日本とメジャーでは、これがいちばん違うところやろな。どっちがいい悪いの問題ではなくて、適応せなしゃあわないわな。
──郷に入っては郷に従えと。
岡田:ボールが滑るから変えてくれ、なんて言えへんしなあ。そらしゃあないわ。
それに先発投手をどこまで投げさせるか、これも日本とメジャーでは違うやろ。日本は1イニングでも長く投げさせようとするけど、メジャーは球数が100球になったら5回でも交代させるやろ。そのへんの違いよな。
──日本は今でも完投が理想とされています。140~150球近い球数になることも珍しくはない。球数は多くても、登板間隔は中6日と余裕がある。対してメジャーは球数は少ないが、登板間隔は中4日と短い。
岡田:調整の仕方も変わってくるわな。中6日あったらブルペンに2回は入るわな。メジャーのことをしっかり見てるわけやないからアレやけど、中4日だとブルペン入れへんやろ? 身体を休めてるうちに、すぐに次の登板機会が来るいう感覚やろなあ。そのへんの調整の違いにも慣れないとアカンやろし。
先発と抑えは調整は違うけども、球児にしたって日本におるときは肘に関しては特に大きな問題はなかった。やっぱりボールとマウンド。このふたつの違いが負担をかけたんやろね。もちろんアジャストしようと試行錯誤してたはずだけど、残念ながらアジャストする前に故障してしまった。
「昭和の大投手はとにかく身体が頑丈だった」
──トミー・ジョン手術は成功率が高く、メスを入れても復帰できる可能性が高いと言われています。とはいっても、リハビリ期間を含めると1年から2年は棒に振りますからねえ。
岡田:そやなあ……だから、どう判断するかよ。手術を回避して保存療法するにしても、いつ再発するかという不安は残るやろうし。
酷使だの、投げすぎだのと、最近よう話題になっとるけど、日本だって1年間つづけて毎日投げさせるなんてことはないわけやしな。たとえば優勝がかかった大詰めのときとか、そういうときは連投することもあるけど、それは特別やで。ふだんは投手のコンディションを見ながら、疲労が溜まっているようだったら登板を1回飛ばしたりする。無理して故障させたら、元も子もない。
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