フットボール“新語録”BACK NUMBER
W杯の敗因の1つ「コンディション」。
調整過程に浮上した“3つのミス”。
posted2014/08/04 10:30
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
NIKKAN SPORTS
「指宿でかなりハードな合宿を行ない、シーズンをフルで戦ってきた選手には少し負荷が強過ぎたかもしれない」
原博実専務理事(日本サッカー協会)
なぜ日本代表は、ブラジルの地で1勝すらできなかったのか? ブラジルW杯が終わって2週間以上が経つというのに、まだそのことばかりを考えている。
自分なりに敗因としてある程度整理できていることが、大小含めて3つある。「暑熱対策の失敗」、「コンフェデ杯に起因する戦術の迷い」、「個人のプレッシング技術の低さ」だ。今回は1つ目について書きたいと思う。
本田、長友、岡崎の体が重かったコートジボワール戦。
ザックジャパンがコンディション調整に失敗したことは、原博実専務理事が記者会見で認めている。
「指宿でかなりハードな合宿を行ない、ケガで2、3カ月休んでいた選手には良かったと思う反面、シーズンをフルで戦ってきた選手には少し負荷が強過ぎたかもしれない」
特にコンディションの悪さが目立ったのは、初戦のコートジボワール戦だ。日本は後半から一気に運動量が落ち、わずか2分の間に逆転を許したのは体力の問題だけではないが、そこから反撃に出ようとするときにガス欠を起こしてしまった。
前半にゴールを決めた本田圭佑は、後半は重りを背負っているかのように動きが鈍った。昨季インテルではドリブルで奥深くまで切れ込んで相手を混乱に陥れていた長友佑都も、今大会はプレーが淡白で、クロスでプレーを終わらせることが多く、最後のもう一歩が出ない印象だった。岡崎慎司もマインツのときのような爆発的なランニングが見られない。各自の武器を出せず、恐さのないチームになってしまった。
原専務理事が「ケガで2、3カ月休んでいた選手には良かった」と語ったように、W杯直前に復帰した内田篤人と吉田麻也のコンディションは水準に戻っただろう。だが、チーム全体としては、明らかにフレッシュさを欠いていた。