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横田真一はゴルファー兼大学院生!?
「選手の賞味期限」とセカンドキャリア。 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

PROFILE

photograph byYusuke Nakanishi/AFLO SPORT

posted2014/07/24 10:30

横田真一はゴルファー兼大学院生!?「選手の賞味期限」とセカンドキャリア。<Number Web> photograph by Yusuke Nakanishi/AFLO SPORT

2010年のキヤノンオープンで13年19日ぶりにツアー2勝目を達成。今年は2試合に出場、最高位はつるやオープンの26位タイ。

 偏差値教育にはちっとも縁がなかった。鉛筆を持つくらいならクラブを握っていた。

「高校を受験した時は“名前を書ければ入れる”なんて言われてました。テストはからっきし。大学の単位は、とにかく授業には出席して熱意で取った」

 横田真一の学生時代は、日本の他のトップアスリート同様、バリバリの体育会生活そのものだった。

 ツアー2勝の42歳は、茨城県のゴルフの名門・水城高で全国高校選手権を制し、専大時代には日本オープンでローアマチュアにも輝いた。生涯獲得賞金は4億7360万5643円。これは歴代65位にランクインする、紛れもないトッププロの数字だ。

 しかし現在、彼にはもうひとつの肩書きがある。

「順天堂大学大学院・医学研究科医科学専攻修士」

 プロゴルファー兼大学院生という2足のわらじを履く、ツアーの歴史を振り返ってみても、異彩を放つ存在なのである。

かつては大嫌いだった「理論」との出会い。

 1997年の全日空オープンで初勝利を飾り、毎年安定した成績で10年来、ツアーの常連選手だった横田。当時は「スイングを、云々言う人が嫌いで。それまでに自分で出した本も『ヨコシンの自己感覚ゴルフ―理論を信じず、己を信じよ!』(PHP研究所)とかだった。形にこだわるなって言い続けてきた」と、理論派と呼ばれる人々とは距離を置いてきた。

 だが2005年に選手会長に就任して以降、多忙もたたり不振に陥った。大卒後ずっとキープしてきたシードを'06年に喪失。「自分よりも下手な人に教わる気がしれない」と毛嫌いしていたコーチの指導を受けるようになり、徐々に理論の重要性を感じるようになった。

 当時の横田を学問の道に進ませたのが、「4スタンス理論」という身体力学である。人間は生まれつき、4タイプの身体特性(A1、A2、B1、B2)に属していて、それぞれが特性に合う動きをすることで、最大限のパフォーマンスを引き出せるという理論。この理論はゴルファーだけではなく他のスポーツや日常生活にも通じており、「イチローはA1、松井秀喜はB2……」といったように、プロ野球選手を題材にしたものの方が、広く知られているかもしれない。

【次ページ】 自らの成功体験が、勉強への興味に拍車をかけた。

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