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横田真一はゴルファー兼大学院生!?
「選手の賞味期限」とセカンドキャリア。
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byYusuke Nakanishi/AFLO SPORT
posted2014/07/24 10:30
2010年のキヤノンオープンで13年19日ぶりにツアー2勝目を達成。今年は2試合に出場、最高位はつるやオープンの26位タイ。
自らの成功体験が、勉強への興味に拍車をかけた。
キャリアの行方を大きく変えたのは、下部ツアーを主戦場としていた'07年夏。「超、冷やかし。渋谷でやるなら、家から近いから行ってみるか」という軽い気持ちで足を運んだセミナーだった。同理論の権威である廣戸聡一氏の言葉、そしてゲスト参加した多くのアスリートたちの姿に「ものの5分で」心を鷲づかみにされてしまったという。
「格闘家に力士、陸上選手、サッカー、スキーヤー、プロボウラー……。彼らがタイプによって、できない動き、できる動きがあって本当にびっくりした。目からウロコが落ちまくった」
すぐに廣戸に師事し、研究に携わるようになった。以前から左手首の故障に苦しみ、数か月に1度ステロイド注射を打っていたが、理論に基づいて自分に合うグリップに変えてから、それが必要なくなった。'08年にはシード選手に復帰。「これ、スゴイなあ、追究してみたいなあって。勉強が本当に面白くなってしまった」と、自らの成功体験は興味の高まりに拍車をかけた。
次のキーワードは「自律神経」だった。
横田はその後、学問の世界にさらにどっぷり浸かってしまう。今度は「自律神経」というキーワードが、知人の学者を通じて耳に飛び込んできた。緊張や集中状態で働く「交感神経」と、リラックスしている時に働く「副交感神経」とをバランスよく交わらせることで、プレー中の能力を向上させるという身体理論だ。
「話を聞いてみると、確かにまた面白いんですよ。ほとんどの人間は交感神経優位だから、僕ら凡人は勢いが出ても“その気”になっちゃいけない。交感神経を上げないようにする必要があるんです。
でもスーパースター、本番に強いやつは副交感神経が優位。(石川)遼くんとか、松山(英樹)くんとかね。彼らは『ここだ!』って時に、逆に交感神経を上げていって、テンションを高めていく必要があって。人間の体って、うまくできてるなあって」