ブラジルW杯通信BACK NUMBER
日本代表の監督選びが難しい理由。
そして監督よりも大切な“体制作り”。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama/JMPA
posted2014/07/15 10:30
2010年の南アフリカW杯で、メキシコを率いてGLを突破したハビエル・アギーレ。彼の手腕に期待するのもさることながら、日本サッカーの進化のために協会ができることはまだまだあるはずだ。
A代表とアンダー世代、そしてJの連携を。
もちろん、今回の「世界から招聘」路線は、協会の固い意思として受け止めたい。だがこれからを見据えるならば、Jリーグで結果を残し、日本サッカーの方向性に合致する監督にもっと注目し、日本人指導者の育成に力を注ぐべきだと感じる。
指導者育成で一案を挙げるとするならば、有望な指導者たちをA代表のコーチングスタッフに入れるのはどうだろうか。実例としてオシムジャパンには、反町康治氏(北京五輪代表監督)、大熊清氏、小倉勉氏と日本人コーチが3人も入っていた時期がある。
アギーレを補佐しながら、間近に接することで学べることも多いはず。リオ五輪代表の手倉森誠監督だけでなく、若い指導者がA代表のコーチングスタッフを経験することで得るものはきっと多いはずだ。
そして、若い指導者を協会のカテゴリーのなかで積極的に登用することも考えていくべきだと思う。クロアチア代表監督のニコ・コバチやコートジボワール代表監督のサブリ・ラムシはともに42歳。世界中で青年監督は次々と出てきており、日本は2020年には東京五輪も控えているだけに、若手指導者の抜擢は真剣に考えていくべき事案だろう。
また、日本サッカーの方向性を全体で共有するという意味でも、アンダー世代の指導者たちとA代表の関係もより強い結びつきを持ってもいいはずだ。年に1、2回の交流はこれまでもあったが、手倉森監督を筆頭に、U-19の鈴木政一監督、U-16の吉武博文監督や技術委員のメンバーがA代表のコーチミーティングに参加する回数を増やすなどして、意見交換や意思共有の場を積極的に設けることもアリだと思う。
もっと広げていえば、Jリーグの監督、指導者にも、協会が打ち出した指針がしっかりと伝わる形を構築していくというのも必要なことだろう。
ベルギーも、コロンビアも育成を成功させた国。
ブラジルW杯でベスト8に入ったベルギーも、コロンビアも育成を成功させた国。ベルギーは協会がつくった育成方針をクラブでも実践するように協力を求めるなど、協会とクラブの“二人三脚”が今の強いチームをつくり出したと言っても過言ではない。このモデルは非常に参考になると思うのだが……。
開かれたA代表。
新しい体制づくり、システムづくりを推し進めていくことが将来の成功を呼ぶ。A代表の強化を図るとともに、将来を見据えた日本人指導者とアンダー世代の選手たちの育成をカタチにする4年間にしてもらいたいとも思う。そしてJリーグとの協力体制もより大事になってくる。
ブラジルW杯で結果を残せなかったことを、日本協会はどう重く受け止めているのか。
彼らの本気度を測ることができるのは、むしろアギーレ新体制が発足してからになるのではないだろうか。