ブラジルW杯通信BACK NUMBER
日本代表の監督選びが難しい理由。
そして監督よりも大切な“体制作り”。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama/JMPA
posted2014/07/15 10:30
2010年の南アフリカW杯で、メキシコを率いてGLを突破したハビエル・アギーレ。彼の手腕に期待するのもさることながら、日本サッカーの進化のために協会ができることはまだまだあるはずだ。
ザッケローニは、“本命中の本命”ではなかった。
前回の教訓――。
それは南アフリカW杯終了後に次期監督の選考を本格化したために、候補者たちとの交渉で後手に回ってしまったことだ。後になって有力候補者として名前が挙がってきたことから考えても、アルベルト・ザッケローニが決して“本命中の本命”ではなかったと言えるだろう。ペケルマンら原専務理事が意中とする人物との交渉は、成功に至らなかったのだ。
そもそも日本代表の監督というポストは、世界で働く一線級の監督にとって決して魅力的には映っていない。
昨年11月、日本と対戦したオランダ代表監督のルイス・ファンハールが「日本や中国から声をかけられているが、オファーを断っている。遠いところには行きたくない」と衝撃的な告白をしたことがある。極東という地理的条件もさることながら、4年間も世界のトップシーンから離れてしまえば、キャリアアップどころか逆になるという懸念もあるのかもしれない。
東アジアから世界の桧舞台に舞い戻るのは簡単ではない。
日本代表を指揮した歴代の外国人監督を振り返ってみても、フィリップ・トゥルシエはマルセイユの監督に、また、ジーコはフェネルバフチェの監督に就任するなどキャリアアップした感はあるものの、結局彼らは再びアジアサッカーに戻っている。ザッケローニの次の就職先が未定なのに引き換え、イタリア代表監督を退任したチェーザレ・プランデッリはトルコの名門ガラタサライの監督に就任することが決まっている。東アジアから世界の桧舞台に戻るというのは、決して簡単なものではない。
つまり、世界で活躍する監督が東アジアに来ることを希望するのは少数派と言っていい。そういった状況の中で、アギーレが代表チームの監督に関心を抱いているという情報を得て、日本協会側もすぐさま動いたわけだ。