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ベンゲルが語るW杯“第3のトレンド”。
「カウンターに人数をかけろ!」
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木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byGetty Images
posted2014/07/23 10:30
![ベンゲルが語るW杯“第3のトレンド”。「カウンターに人数をかけろ!」<Number Web> photograph by Getty Images](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/1/350/img_6104a0e76b18cd5f26e0c9979caade23379349.jpg)
決勝トーナメント1回戦のギリシャ戦、先制点を決めたコスタリカのブライアン・ルイスをチームメイトが祝福する。コスタリカは彼を中心に次々とカウンターを仕掛けていった。
「興味深いのは、結果を出しているチームの多くが アタックに人数をかけていたことだ」
アーセン・ベンゲル(アーセナル監督)
ブラジルW杯の戦術的なトレンドは何か?
大会が終わった今、あらためて専門家たちの分析に目を通すと「3バック(=5バック)」や「切り替えの早さ」といったオーソドックスな見解に加えて、興味深い“第3のトレンド”があったことに気がつく。
それは「カウンターの際に、ペナルティエリアにたくさんの選手が雪崩れ込む」ということ――。
アーセナルを率いるアーセン・ベンゲル監督は、グループリーグ終了後、キッカー誌のインタビューでこう語った。
「3バックや守備から攻撃への切り替えが目につくが、何と言っても興味深いのは、結果を出していたチームの多くがアタックに人数をかけていたことだ。それが今大会のトレンドだと思う」
「5バック的な3バック」は欧州でもすでに見られる布陣で、ユベントスは3バックを用いてセリエAを3連覇した。ジョゼップ・グアルディオラは昨季のドイツ杯決勝に、攻撃的な3バックで臨んでドルトムントを退けた。切り替えの早さに関しては、もう10年以上言われ続けている。どちらも目新しい戦術ではない。
欧州では見られない、人数をかけたカウンター。
だが、3つ目の「アタックに人数をかける」は違う。
欧州の感覚なら、攻撃が失敗した場合に備えて、カウンターは限られた人数で仕掛けるのが一般的だろう。レアル・マドリーで言えば、前線のクリスティアーノ・ロナウド、ベイル、ベンゼマだけというように。無鉄砲に全員で突っ込んだら、幼稚な戦術だと見られてしまう。
ところがブラジルW杯では、この戦術が見事に機能していたのだ。コスタリカやチリは決していちかばちかではなく、確信を持って人数をかけたカウンターを仕掛けて波乱を起こした。欧州には見られない……という意味で、この3つ目のトレンドこそ、クローズアップする価値がある。元ドイツ代表GKのオリバー・カーンも、今大会のトレンドを「テンポ、スピード、攻撃の人数」と説明していた。