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17打の大差を生んだ小さな「何か」。
松山英樹、全米OPの敗因を探る。 

text by

舩越園子

舩越園子Sonoko Funakoshi

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posted2014/06/16 16:30

17打の大差を生んだ小さな「何か」。松山英樹、全米OPの敗因を探る。<Number Web> photograph by AFLO

イーブンパーで2日目を終えた松山英樹だったが、3日目、4日目ともに4オーバーで合計8オーバーの35位タイで4日目を終えた。これはアーニー・エルス、セルヒオ・ガルシアらと同じ順位である。

17打という大きな差を生んだ、小さな何か。

 そして、いざ開幕した初日は、その言葉通りのゴルフができた。ティショットでフェアウェイをほとんど外さず、自らが口にした言葉通り、砂地を「入れなければいいだけの問題外のハザード」とすることができていた。

 初日を終えたとき、首位のカイマーとは、まだ4打差だった。その差が2日目に10打へ、3日目に12打へ広がり、終わってみれば17打差へ。カイマーと松山の差がそんなにも大きく広がってしまったのは、なぜだったのか――。

 17打もの差を押し広げたのだから、それは何か大きなファクターのように思えるかもしれない。だが、彼ら2人の間を大きく隔てたものは、実は、ほんの少しの、ほんの小さな何かだったように思う。

 たとえば、2日目。松山は完璧と言えるほどの好プレーを続け、前半を2アンダーで回った。だが、後半に入ると、12番あたりから流れが変わった。

 ティショットを右の砂地に入れた。それでもセカンドショットは何事も無かったかのようにピン2.5メートルにピタリと付けた。しかし、その短いバーディーパットを外した。すると、13番のティショットは再び右に飛び出し、第2打はグリーンから手前へ転がり戻り、第3打はピンを8メートルほどもオーバーしてボギーとなった。

小さな違和感が、1つのきっかけで膨れ上がる。

 そこから先は、あれほど安定していたティショットがフェアウェイに行かなくなった。すると「入れなければいいだけ」の存在だっったフェアウェイ両サイドの砂地やバンカーが、突如、彼の第2打を阻害する存在と化し、16番でも18番でもボギーを喫した。

「12、13番ぐらいまでショットも良かったけど、ずっと(ショットに)変な感じがしていたのが最後のほうでそのまま出ちゃった」

 きっかけは、ほんの少しの、ほんの小さな違和感だった。それがたった1度、たった1つのミスを境に、徐々に大きくなっていく。そうなると影響されることを想定に入れてさえいなかった、ほんの少量の砂に翻弄されることになる。わずかにフェアウェイを外しただけでも、いやいや、フェアウェイを捉えたときでさえ、その下に横たわる白い砂が、意地悪な障害物と化す。

【次ページ】 ひとたび始まった悪循環を大会中に止めるのは難しい。

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