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17打の大差を生んだ小さな「何か」。
松山英樹、全米OPの敗因を探る。 

text by

舩越園子

舩越園子Sonoko Funakoshi

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photograph byAFLO

posted2014/06/16 16:30

17打の大差を生んだ小さな「何か」。松山英樹、全米OPの敗因を探る。<Number Web> photograph by AFLO

イーブンパーで2日目を終えた松山英樹だったが、3日目、4日目ともに4オーバーで合計8オーバーの35位タイで4日目を終えた。これはアーニー・エルス、セルヒオ・ガルシアらと同じ順位である。

ひとたび始まった悪循環を大会中に止めるのは難しい。

 そんな一連の現象は、ひとたび起こり始めると、止められそうでなかなか止められなくなる。3日目はそれが序盤の2番、3番、4番で起こり、最終日はいきなり1番、2番で起こってしまった。

「風の影響もなく、ショット自体もアプローチもそんなに悪くなかったけど、少しの距離感というか、そういうところで、まだまだ僕には、このコースを攻略する力は無いのかなという感じがした」

 ほんの少しの距離感、ほんの少しの違和感が原因となり、小さなミスが大きなミスにつながり、僅差が大差へ広がっていく。松山の今年の全米オープン4日間は、そうやって終わってしまった。

練習か経験か、メジャーを勝つために必要なこと。

 それならば、その「ほんの少しの不足」をどうやって補っていけばいいのか。

「練習しかないと思います」

 経験を重ねることより、練習を積むことのほうが優先だと松山は言う。

「そうだと思います。練習でそこ(経験の少なさ)を補えると思います」

 米ツアーでキャリアを重ねてきた選手たちの多くは、練習の重要性もさることながら、メジャー優勝と自分との距離を縮めるために大きくモノを言うのは経験だと言う。そしてメジャーで優勝争いを経験した選手たちは間違いなく、経験こそが収穫だと言う。

 今大会で2位になったリッキー・ファウラーは「最終日最終組の経験は僕には数えるほどしかなかったし、メジャーで最終日最終組は初めてだったけど、この積み重ねが自信になるし、今後に生きる」と語っていた。同じく2位になったエリック・コンプトンは「観衆の温かい声援を受け、まるで優勝したような気分だった。次なるメジャーが楽しみでたまらない」と、自らの位置付けを堂々と何段階も上に押し上げていた。

 だが、松山は頑なに「練習しかない」と言う。

 とはいえ、彼だって経験の重要性は実は噛み締めている。

「メモリアルで、あのフィールドで勝ったということは、ここでも勝てるということだと思う」

 要は、ほんの少しの捉え方の違い。ほんの少しの表現の違い。

 松山がどんな言葉で語ろうとも、彼が彼なりに経験を積み、前進していることだけは確か。彼がメジャーに臨むとき、「勝てる」と思って挑んでいることも確か。ただし今回は、「ほんの少し」は気づかぬうちに拡大してしまった。それが彼の敗因であったことも、また確かなのだ。

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