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田中将大の好投とトロントの猛打。
~ア・リーグ東地区、激戦の行方~ 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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photograph byGetty Images

posted2014/06/08 10:40

田中将大の好投とトロントの猛打。~ア・リーグ東地区、激戦の行方~<Number Web> photograph by Getty Images

日本人5人目の月間MVP受賞となった田中将大。6月6日現在、防御率2.02はリーグ1位、勝ち星9は同2位の見事な成績だ。

いっぽうの投手陣はかなり危なっかしいが……。

 いっぽう、投手陣には問題が少なくない。35歳になったマーク・バーリーが12試合に先発し、10勝1敗、防御率=2.10の成績を残しているのは眼を惹くのだが、彼の場合はそんなに上がり目があるとは思えない。

 もともと圧倒的なパフォーマンスを見せる投手ではないし、シーズン全体を通して見ると、2桁前半の勝ち星と、3点台後半の防御率という結果で終わることが多い。つまり、今季に限って終盤まで大車輪の活躍をするとは考えづらいのだ。

 もちろん、81回3分の1を投げて被本塁打=2という数字は立派だ。ただ、奪三振=46は田中の半分程度で、やはり物足りないといわざるを得ない。決め球をカットボールからカーブに変えたのが好調の要因なのだろうが、打者の眼が慣れてくると抑え切れなくなるのではないだろうか。

 2番手以降の先発陣は、さらに不安を抱える。R・A・ディッキーのナックルボールはもはや魔力を失っているし、ダスティン・マクガワンやJ・A・ハップも安定性を欠く。ブランドン・モロウは故障がちだし、期待の若手ドゥルー・ハッチソンにはもう少し時間が必要だろう。

田中が牽引するヤンキース、混戦を抜け出すか。

 というわけで、ブルージェイズの打高投低ぶりは歴然としている。本塁打数(大リーグ全体で1位)、得点数(全体で2位)、OPS(全体で2位)などに比べると、チーム防御率(全体で20位)や与四球数(全体で28位)はかなり危なっかしい。

 一方のヤンキースは、本塁打数(全体で17位)やOPS(全体で18位)こそ低迷するものの、与四球数の少なさ(全体で2位)や奪三振数(全体の3位)が光る。すべて田中の功績だが、チーム防御率(全体の23位)さえ改善されれば、逆転の可能性は十分に考えられる。私は、ブルージェイズ打線の好調はそう長続きしないと見ている。田中が好調を維持し、黒田博樹、CC・サバシア、マイケル・ピネダらがある程度復活してくれば、混戦を抜け出すこともできるのではないか。

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