オリンピックへの道BACK NUMBER
ソチの運営費は過去最高の5兆円!?
「冬季五輪」のあり方を考える。
posted2014/06/08 10:40
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Kaoru Watanabe/JMPA
オリンピックの開催都市は7年前に決まることになっている。だから2020年の夏季オリンピックは、7年前にあたる昨年、東京に決まった。
そして2022年の冬季オリンピックの開催都市は、今年の7月に一次選考の結果が発表され、来年7月に開催都市が決定するスケジュールになっている。立候補しているのは、北京(中国)リビウ(ウクライナ)、オスロ(ノルウェー)、アルマトイ(カザフスタン)の4都市。
立候補の締め切りだった昨年11月時点では6都市だったが、今年1月、北京とともに史上初の夏冬開催を目指していたストックホルム(スウェーデン)が辞退。5月下旬にはクラクフ(ポーランド)も辞退を明らかにした。出ていれば有力視されていたミュンヘン(ドイツ)、あるいはサンモリッツ(スイス)なども立候補を取りやめたことを考えれば、ずいぶん少なくなった。
雪が不足して大会運営が難しいケースが増加傾向にある。
2022年の開催都市選考が動き始めている中で、辞退が相次いだのは勿論小さくない問題だが、実はより切迫感を募らせている、いくつかの問題がある。
冬季オリンピックの、夏季オリンピックとのいちばんの違いをあげれば、それは自然が大きくかかわっているということである。
ソチでは室内競技が行なわれたエリアは一度も雪が降らず、スキー競技などが行なわれた山間部でも雪の少なさは明らかだった。
ソチの場合、本来は夏の保養地だった土地を開発して冬に大会を開くという前提だったので仕方ないと言えるかもしれないが、2010年のバンクーバー五輪をはじめ、近年の数々の国際大会において、雪不足がクローズアップされてきたのは紛れもない事実である。その原因として、当然温暖化もあげられてきた。原因はどうあれ、かつて問題なく大会を実施していた場所でも雪不足で中止に追い込まれるケースは増加傾向にあるのである。