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軽量級から、スラッガーの指名へ!
強い広島の裏に、ドラフトの変化が。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byHideki Sugiyama
posted2014/05/23 11:00
5月20日時点で15本塁打、47打点(どちらも12球団トップ)と当たりまくっている広島・エルドレッド。不動の4番として、丸、キラと共に打線の中軸を担っている。交流戦でも爆発し続けるか。
戦力外レベルの成績でも、猶予を与えた広島。
たとえば3打点を記録した5月8日のヤクルト戦では第1打席、1-1から徳山武陽が投じた126kmのチェンジアップに軽く合わせて右中間を破る二塁打を放っている。そうかと思えば第3打席、1ボールから投じた133キロのストレート系の変化球をジャストミートしてレフトスタンドに放り込んでいる。こういう緩急への対応が昨年まではできなかった。
5月18日の巨人戦で2本のホームランを含む3安打、6打点を記録した翌日、日刊スポーツ紙には野村謙二郎監督がエルドレッドに与えた「打ち急ぐな、タメを作れ」という助言が紹介されていた。
キャンプ中に、テークバックをゆっくり取る打撃フォームを指導されたことも併せて紹介されていた。成績だけみれば、過去2年規定打席に到達せず、打率.247~.262、ホームラン11~13本の間をさまよう外国人は戦力外通告されるのが普通である。しかし、広島首脳陣と編成は通告を思いとどまり、しばしの猶予を与えた。この2年間がエルドレッドの大化けを助けた。
エルドレッドとキラの2人の外国人が今後も広島躍進の原動力になっていくことは間違いなさそうだが、外国人選手は長くチームにとどまらないというのも事実なので、彼らが頑張っているうちに後継者を育てておきたい。その候補はいるのだろうか。
ここで注目したいのが、広島のドラフト獲得選手だ。低迷が始まった'98年以降、上位指名の顔ぶれと、その後中心選手になった選手の指名順位を見ていこう(自由枠スタート年の'01年から分離ドラフト最終年の'07年までは指名順位を「巡」で示した。※はその年の3人目以降の指名選手)。
◇'98年1位・東出輝裕(遊撃手・敦賀気比)、2位・井生崇光(遊撃手・東筑)
※新井貴浩(6位・駒沢大・三塁手)
◇'99年1位・河内貴哉(投手・国学院久我山)、2位・木村一喜(捕手・日本通運)
※栗原健太(3位・日大山形・一塁手)
◇'00年1位・横松寿一(投手・戸畑)、2位・広瀬純(外野手・法政大)
◇'01年1巡・大竹寛(投手・浦和学院)、3巡・大島崇行(投手・山梨学院大付)
※石原慶幸(4巡・捕手・東北福祉大)、天谷宗一郎(9巡・外野手・福井商)
◇'02年自由枠・永川勝浩(投手・亜細亜大)、3巡・吉田圭(投手・帝京)
◇'03年1巡・白浜裕太(捕手・広陵)、3巡・比嘉寿光(三塁手・早稲田大)
◇'04年1巡・佐藤剛士(投手・秋田商)、3巡・森跳二(投手・関西外国大)
◇'05年高校生1巡・鈴木将光(外野手・遊学館)、高校生2巡・今井啓介(投手・中越)
※梵英心(大社3巡・遊撃手・日産自動車)
◇'06年高校生1巡・前田健太(投手・PL学園)、大社希望枠・宮崎充登(投手・ホンダ鈴鹿)
◇'07年高校生1巡・安部友裕(遊撃手・福岡工大城東)、大社1巡・篠田純平(投手・日本大)
※丸佳浩(高校生3巡・外野手・千葉経大付)、小窪哲也(大社3巡・遊撃手・青山学院大)
松山竜平(大社4巡・外野手・九州国際大)
◇'08年1位・岩本貴裕(一塁手・亜細亜大)、2位・中田廉(投手・広陵)
◇'09年1位・今村猛(投手・清峰)、2位・堂林翔太(三塁手・中京大中京)
◇'10年1位・福井優也(投手・早稲田大)、2位・中村恭平(投手・富士大)
◇'11年1位・野村祐輔(投手・明治大)、2位・菊池涼介(遊撃手・中京学院大)
◇'12年1位・高橋大樹(外野手・龍谷大平安)、2位・鈴木誠也(内野手・二松学舎大付)
◇'13年1位・大瀬良大地(投手・九州共立大)、2位・九里亜蓮(投手・亜細亜大)