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4試合で4失点のザック・ジャパン。
韓国戦までに守備は進化できるか?
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2011/01/24 11:50
ドーハを連日覆っていた曇天は消え、夏日のような強い日差しが差す。
カタール戦の劇的な勝利から一夜明け、練習を終えてピッチから出てきたキャプテンの長谷部誠の表情からは勝利の余韻など消えていた。
「守備の部分は実際やられているわけだし、修正しなきゃならない。ラインコントロールやリスクマネジメントはこれまでの相手ならOKという感じはあったけど、次(の相手)からはやられてしまう。しっかりとやらなきゃならない」
4試合で4失点。
失点の内訳はグループリーグがオウンゴール気味の失点(ヨルダン戦)とPK(シリア戦)によるもの。
カタール戦の2失点もミス絡み。
セバスチャンに決められた1点目はカウンターで日本の左サイド裏にボールを出され、伊野波雅彦のポジション取りが深かったこともあってオフサイドを奪えなかった。2点目はニアを破られたFKの壁のつくり方や守備の対応に問題があった。
守備戦術がチーム全体で統一されていない!?
失点シーンだけを抽出すれば一見、大きな問題はないようにも見える。しかし、失点するまでの流れを「線」として注視すると無視できない問題が浮かび上がってくる。
特にカタール戦では、相手寄りのレフェリングを差し引いたとしても、日本の守備が極めて不安定な状態に陥っていた事実は否めない。
1点目を献上する前から左サイド裏を狙われて押し込まれ、個々のポジショニングが乱れていたし、2失点目のきっかけとなる吉田麻也のファウル(2枚目の警告で退場)は、チーム全体の対応が後手に回って遅れていたことも影響していた。アンラッキーで片付けられる失点ではなく、失点に結びつく種は撒かれていたのだ。
不安定な守備の要因として、守備戦術への戸惑いがチームから感じられる。
昨年末に行なわれた合宿から、チームはゾーンディフェンスの色を強めてきている。たとえば攻から守に切り替わる際、まずチームは相手のスペースを消すことを意識する。ラインをつくったうえでパスの受け手をターゲットにする守備ではあるが、チームづくりが初期段階である以上、意思統一が十分に図られているわけではない。