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「こんなにあっさり勝っていいのか」
宮里優作が乗り越えた不吉な“格言”。 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byYUTAKA/AFLO SPORT

posted2014/04/27 10:40

「こんなにあっさり勝っていいのか」宮里優作が乗り越えた不吉な“格言”。<Number Web> photograph by YUTAKA/AFLO SPORT

家族が見守るなか待望の1勝目を挙げた昨季最終戦のJTカップから、わずか4カ月で2勝目を手にした。

待望の白星にも、道を踏み外さなかった宮里。

 その意味で宮里は、待望の白星を手にしても方向性を変えず、道を踏み外さなかった選手だった。「今年の目標は目標を立てないこと。具体的な目標を作ると、自分を縛り付けてしまう」と新しいターゲットをあえて設定せず、オフでは長いキャリアで抱えてきた課題の克服を第一に取り組んだという。

 沖縄生まれとあって、風の中でのプレーは得意と思われがちな宮里。しかし本人は「沖縄の風は(本州とは)違うんです」という。むしろ「僕はハイボールで攻める選手になった」と風の中でのプレーは不得手とさえ感じていた。

 それゆえ、このオフは風が吹くのをイメージしたショット練習に多くの時間を費やしてきた。

「かなり意識して、風のない中でも風があるようにショットを打っていました。意味もなく……(笑)」

キャディが気づいた、「引き出し」の増加。

 高低差があり、風の影響が色濃くなる東建多度カントリークラブ・名古屋での国内初戦は、その実戦テストにはうってつけだった。

「風の中でのショットに安定感が出たと思った。状況に応じてどう対応できるかという強さ、ゲームの中でのゴルフが上手くなっていた」

 かつては丸山茂樹のエースキャディも務め、宮里のキャディとなって4年目の杉澤伸章は、今季宮里が増やしてきたショットの引き出しにそう目を光らせた。

 2勝目を飾ったポイントとして杉澤が挙げた1打がある。

 最終日、1番ホールでいきなりバーディを決めたのを手始めに5連続バーディ発進。1打差で追っていた首位の座をあっという間に奪ったのだが、実は6番(パー3)でもティショットをピン右3メートルにつけ、6連続バーディのチャンスがあった。しかし、肝心のバーディパットでフックラインを読み過ぎ、ボールはカップのわずか右で止まってしまった。グリーン上で両膝を左右に揺らし、苦笑いで悔しがる姿にギャラリーの溜め息は笑い声に変わった。

【次ページ】 最高の流れが寸断された後に試された精神力。

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