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「こんなにあっさり勝っていいのか」
宮里優作が乗り越えた不吉な“格言”。 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byYUTAKA/AFLO SPORT

posted2014/04/27 10:40

「こんなにあっさり勝っていいのか」宮里優作が乗り越えた不吉な“格言”。<Number Web> photograph by YUTAKA/AFLO SPORT

家族が見守るなか待望の1勝目を挙げた昨季最終戦のJTカップから、わずか4カ月で2勝目を手にした。

 1勝目より2勝目の方が難しい。

 プロゴルフの世界にはそんな言い伝えがある。ただガムシャラに、無欲のまま突き進んで手にした1勝はまるで虚像のようなもの。口の悪い人は「1勝目はただの“事故”」とまで言う。

 1973年に現行のツアー制度が施行されてから、日本男子ツアーで優勝経験のある選手は、通算94勝の尾崎将司を筆頭に、339人いるが、そのうち1勝に終わっているのは141人(2014年4月25日現在)。「チャンピオン」と言われる選手のうち、実に4割以上の選手が、2勝目の壁に阻まれている。

 この40年間で約2000人の選手がレギュラーツアーの舞台を踏んできた。統計上の割合で言えば、冒頭の“格言”は間違っているのだが、それだけ初優勝をあげた選手は厳しい目で見られているということだろう。

1勝目と2勝目の間に立ちはだかる壁とは?

 しかし宮里優作に、その格言は当てはまらなかった。昨年の最終戦で、プロ11年目にして悲願の初勝利を挙げた33歳は、2014年の国内初戦の東建ホームメイトカップで、そのハードルを軽々とクリアした。

「こんなにあっさり勝ってしまっていいのか……」

 そう拍子抜けしたように口にしたのは、宮里自身も同じように“格言”を痛いほど耳にしていたからである。

 1勝目と2勝目の間に立ちはだかる壁とは何か。

 苦しみ抜いた末に初優勝を挙げた選手が、その1勝で満足してしまうわけではないだろう。むしろ一層の飛躍を遂げようと、気持ちを新たにする選手の方が多いはずだ。ただ、2勝目への思いが強くなるあまり、それまでの方向性を大きく転換するケースも多い。スイングを変え、クラブを替え、あるいはトレーニングの手法を変える。次のステップを踏むための試行錯誤のはずが、結果的にその足を迷宮へと運ばせてしまうのだ。

【次ページ】 待望の白星にも、道を踏み外さなかった宮里。

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宮里優作
杉澤伸章

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