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「ケイは近いうちにトップ10に入る」
フェデラーが錦織圭に与えた“保証”。 

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秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

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photograph byGetty Images

posted2014/04/01 11:50

「ケイは近いうちにトップ10に入る」フェデラーが錦織圭に与えた“保証”。<Number Web> photograph by Getty Images

フルセットにもつれこむ激戦を終え、互いを称えあうフェデラーと錦織圭。今季フェデラーからタイブレーク以外でセットを取ったのは5人のみ。トップ10が見えてきた。

ミスを覚悟でリスクを冒して攻めに出た。

 今度は違った。第1セット、錦織のアンフォーストエラー、すなわち自分から犯したミスは25本に達した。堅実なプレーの錦織にしては、異常な多さと言っていい。プレーのリズムを崩す時間帯もあったとはいえ、これほどエラーが増えたのは、リスクを冒して攻め続けたからにほかならない。

 試合はファイナルセットにもつれ、我慢のプレーで相手のマッチポイントを逃れる場面もあったが、最大の勝因は錦織のこの攻撃性にあったと見るべきだろう。

フェデラーの弱点に付け込み、ゲームを支配。

 続く準々決勝の相手は、元王者のフェデラーだった。対戦成績は1勝1敗。ただ、昨年の勝利は休養明けで調子の上がりきらないフェデラーから奪ったものだった。

 その頃とはうってかわって、今のフェデラーは自信にあふれている。一つ前の米国インディアンウェルズ大会は決勝でジョコビッチに敗れたが、ファイナルセット・タイブレークにもつれる接戦だった。このマイアミでも、3戦して自分のサービスゲームでは一度もブレークを許していなかった。サービスゲームで失ったポイントは3試合合計でわずか18。好調のサーブを軸に、快調に飛ばしていた。錦織との準々決勝も第1セットは隙がなかった。

 3-6でセットを落とした錦織だが、ワンサイドに近い展開の中で、一太刀は返した。この大会で初めてフェデラーのサービスゲームをブレークしたのだ。この抵抗が、のちに生きる。

 第1セット、フェデラーのファーストサーブの確率は38%。及第点は60%前後だが、それを大きく下回る数字だ。そこに一点突破を図るチャンスがあった。第2セット、錦織は相手サーブの不安定さにつけ込んで、得意のリターンで攻めていく。このセット2度目のブレークに成功すると、形勢は徐々に錦織に傾いていく。

「1つのブレークは男子のゲームでもあり得ることだが、2つとなると」

 試合後、フェデラーが悔やんだ場面だ。結局、錦織はこのセットだけで相手のサービスゲームを3度もブレークし、1セットオールに持ち込んだ。

 ファイナルセットはストローク戦で圧倒した。中でもバックハンドが圧巻だった。クロス中心に配球し、フェデラーの弱点とされるバックハンドをついた。フォアハンドも左右両翼に均等に打ち分けて振り回し、相手の体力を奪った。堅実さ、ショットの威力、バリエーション、どれを見ても錦織が元王者を凌駕していた。このセット、スコアは最後まで離れなかったが、錦織はフェデラーに一度もブレークポイントを与えず、完全にゲームを支配していた。

【次ページ】 錦織のフルセットでの勝率は現役選手中1位!

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