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「ケイは近いうちにトップ10に入る」
フェデラーが錦織圭に与えた“保証”。 

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秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

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photograph byGetty Images

posted2014/04/01 11:50

「ケイは近いうちにトップ10に入る」フェデラーが錦織圭に与えた“保証”。<Number Web> photograph by Getty Images

フルセットにもつれこむ激戦を終え、互いを称えあうフェデラーと錦織圭。今季フェデラーからタイブレーク以外でセットを取ったのは5人のみ。トップ10が見えてきた。

錦織のフルセットでの勝率は現役選手中1位!

「ケイは食らいついてきた。僕を気分よくプレーさせてくれなかった。第2、第3セットはミスがなく、そのことが彼に勝ちを呼び込んだ」

 フェデラーは淡々と振り返ったが、その表情には落胆の色がにじんだ。最後まで調子が上がらなかったサーブと弱点のバックハンドを錦織にしつこく攻められ、終盤はプレーが縮こまっているように見えた。

 ファイナルセットにもつれる試合を2つ制し、トップ5プレーヤーを続けて破った錦織。この2勝で、錦織のフルセット(3セットもしくは5セット)の試合における通算成績は54勝17敗となった。勝率76.1%は、なんと現役選手の1位。対戦相手も違えば試合数の分母も違うので単純比較はできないが、ラファエル・ナダルやジョコビッチをもしのぐ数字だ。

 競り合いに強い理由の一つは、もともと持っていたメンタルの強さだろう。どんなにスコアが接近しても、びびるということがほとんどないのが錦織の強みだ。

 もう一点、尻上がりのプレーができる理由がこの2戦で明確になった。戦術遂行能力だ。

 前回の対戦より少し攻撃的に戦ったフェレール戦。そして、リターンとバックハンドのラリーで相手の弱点を攻めたフェデラー戦。言葉にすれば何でもないが、トップ5の選手を相手にシナリオ通りの戦いを完遂するのは容易なことではないはずだ。

「近いうちにトップ10」とフェデラーのお墨付きも。

 今の錦織は、思い描いたプレーを実行するのに十分な技術と自信、そして勝利への執着心を備えている。なかでも、マイケル・チャンコーチに植え付けられた自信と執着心が大きい。だから格上相手に、競り合いの中でも最後まで戦術的にブレることなく戦えるのだろう。それに加え、錦織には試合の中で戦術を修正していく頭の良さもある。

 そのプレーは堅実で、攻撃は狡猾、そして執拗だった。

 相手の弱いところをねらって牙を突き立てる。するとさすがのフェデラーも、わずかにひるむのである。腰の引けた相手を、錦織は最後は丸飲みしてしまった。やるべきことに徹する錦織は、毒蛇のように危険なプレーヤーだった。

「2人のトッププレーヤーを破ったことは大きい」

 上位を追い落とし、トップ10にのし上がろうともくろむ錦織には大きな自信となる2勝であったに違いない。「近いうちにトップ10に入ってくることを僕が予言しておく」とフェデラーのお墨付きももらった。

【次ページ】 いまだ一度も勝てていない、ナダルとマリーには……。

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