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スキー・スノボ人口が20年で6割減!
選手も懸念する、先細りと対応策。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byShinya Mano/JMPA
posted2014/03/30 10:30
ソチ五輪で表彰台に日本人2人が上がったスノーボードハーフパイプ。頂点の高さを維持するためには、裾野の広さが絶対不可欠だ。
五輪選手も練習するような、大型拠点の閉鎖。
こんな話を聞いたこともある。
ジャンプ少年団では、参加する子どもたちが減るのと同時に、活動を支える親など大人の姿も減ることになった。毎日の練習のためにはジャンプ台の整備が欠かせないが、協力を得られる大人が少なくなったことで、整備にかける労力と時間が増えることになったという。それは練習にも影響することになる。
状況が悪化すると、スキー場の閉鎖という根本の問題にもつながってくる。
例えばソチ五輪のスノーボード・ハーフパイプ代表の青野令がかつて拠点とし、銅メダルを獲得した平岡卓らも練習をしていた、西日本の拠点となっていた愛媛県のアクロス重信。存続への数万人の署名活動もむなしく、一昨年に閉鎖されたことはスノーボード界では衝撃だった。それにとどまらず、以前はハーフパイプのワールドカップが開催されていた北海道・真駒内スキー場の閉鎖、さらに各地のスキー場の中にも経営不振に陥っているところが少なからず存在する実態がある。
一方で、独自の取り組みで来場者を増やすところも。
一方でスキー場の再生、スキー・スノーボード人口の増加への試みも行なわれ、成果を発揮している場所もある。
長野県の白馬村では、海外からのスキー客が増加している。その中心がオーストラリアからの人々で、この6、7年で3倍以上となり、年間3万人を大きく超えるまでになったという。
昨年12月から今年3月初旬までの期間限定で、成田空港と白馬との直通バスが毎日運行されたことも増加ぶりを物語っているし、移住して白馬村内でペンションなどを営む人も目立つようになってきた。2006年から他の自治体とともに、オーストラリアでPRし、村内の環境整備にも努めてきた効果が表れている。
2008年からスキー場経営に参加した株式会社マックアースが、各地のスキー場ごとに個性を見出してはそれをいかし、再生させてきたのも一例である。
またリフト券を年齢を限って無料化したり、無料スクールの実施、あるいは託児所の設置など、さまざまな取り組みが各スキー場でなされている。家族を呼び込み、若い世代が来やすい条件を整えることで、来場者数が上向いているところもある。
こうした個々の努力とともに、全体として競技をいかに盛り上げていくかも、大きなテーマとなる。