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ドイツは「紙の上のトップチーム」?
W杯の本命が陥った不振と“慢心”。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2014/03/13 16:30
チリとの親善試合で、勝利こそしたものの「らしさ」を発揮できなかったドイツ。ワールドカップの大本命は、あと3カ月で調子を取り戻せるのだろうか。
中盤以降は、ノイアーのビッグセーブ頼みという展開。
チリ戦では序盤こそ地の利をいかしてゲームを進め、16分にはゲッツェ、エジル、シュバインシュタイガーとつなぎ、リターンを受けたエジルがエリア内に侵入。相手が寄せてきたところでパスを出し、これを受けたゲッツェが左足で蹴り込んで先制を果たした。
ただ、ドイツが強さを見せたのはこの時間帯まで。その後は、34分にクローゼのパスを受けたゲッツェがペナルティエリアに侵入してから放ったシュートがゴールのわずか右に外れたシーン以外に決定機はつくれず。
逆に、26分、41分、44分とドイツは左サイドを割られて、たびたび決定的なピンチを招いている。この試合で『キッカー』誌がGKノイアーをマン・オブ・ザ・マッチに選んでいたことからもわかるように、守護神の好守がなければ、早々に同点ゴールを許したとしても不思議ではなかった。
エジルのゼロトップ、最終ライン……ことごとく機能せず。
攻撃陣も、思ったようには機能しなかった。
1トップに入ったクローゼのコンディションは負傷によりベストとは程遠く、前日になってようやく出場許可が下りるような状態。クローゼが下がってボールを受けて、2列目の選手がそれを追い越していくような場面は34分のゲッツェのシュートシーンくらい。前半だけで退くことになったクローゼがボールに触れたのは、わずかに11回。献身的な守備でチームを助けるという彼の特長も、この試合では影をひそめた。
そんな状態のクローゼを下げてシュールレを入れた後半はさらにひどい状態になった。エジルが中央の最前線に位置するゼロトップの布陣はほとんど機能せず。たまにカウンターからシュールレが左サイドでドリブルをしかけるくらい。後半は一方的なチリのペースとなった。
前半同様にドイツの左サイドの守備は崩壊。シュメルツァーが引き出されると、その背後のスペースに何度もパスを通されて、決定的なクロスを送られた。ボアテンクとシュメルツァーの間をうまく使われ、そのスペースをドリブルで破られたり、パスを通されたりした。クロスバーに救われたシーンもあれば、チリのシュート精度の低さに助けられたシーンもあった。