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「氷」のオランダ、「雪」のノルウェー。
メダル内訳で考える、日本の針路。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byShinya Mano/JMPA
posted2014/02/24 11:30
ソチ五輪で、日本勢唯一の金メダルを獲得した男子フィギュアスケートシングルの羽生結弦。男子フィギュアで、欧米以外の選手が金メダルを獲得するのは史上初のことだ。
ソチオリンピックが閉幕、心配だったテロが起きることもなく、まずはオリンピックが守られたことにホッとしている。
さて、ここで見ていきたいのはメダルの数、そして内訳。
日本のメディアは金メダルの数で並べていくが、アメリカのテレビ局だとメダル総数の順に並べていくところもある。それにならって、国別のメダル獲得状況を見ていくと……。
●金メダル
ロシア 13
ノルウェー 11
カナダ 10
アメリカ 9
オランダ 8
日本 1
●メダル総数
ロシア 33
アメリカ 28
ノルウェー 26
カナダ 25
オランダ 24
日本 8
オランダとノルウェー、対照的な氷と雪の国。
このように総数になると、「米露」が接近し、いきなり宿敵に格上げされる印象だ。2番をキープすることで、「ロシアがホームだからね」という、自尊心が垣間見えるいかにもアメリカのスポーツ的な解釈も成り立つ。
メダルの内訳で印象的だったのは、オランダとノルウェーである。
オランダはスピードスケートで段違いの強さを見せつけたが、メダル総数24個のうち、スピードスケートが23、ショートトラックが1とすべてが「氷」の上のメダルなのである。
対照的にノルウェーは、アルペン(3)、バイアスロン(6)、クロスカントリー(11)、ノルディック複合(4)、スノーボード(1)、ジャンプ(1)と、すべてが「雪」の上の競技なのだ。