フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
浅田真央が総合6位にまで挽回!
キム・ヨナ連覇ならず、ソトニコワが金。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byNaoya Sanuki/JMPA
posted2014/02/21 11:50
フリーの演技後、浅田は一度泣き崩れそうになったが、グッとこらえて笑顔を観客に向けた。
リンクの中央に出てきた浅田真央を見たとき、今日はきっと大丈夫だろうという予感があった。何か無駄なものが落ちたような、すっきりとした表情だった。心配も不安も脱ぎ捨てて、無心で滑る。そう決意したかのような、いい顔だった。
「覚悟を決めて滑りました」
2月20日、フィギュアスケート女子フリーでの浅田。
ラフマニノフのメロディがはじまり、冒頭の3アクセルがきれいにきまった。そこからジャンプを一つ一つ成功させていき、いくつか回転不足の判定はあったものの、最後までノーミスの演技。
浅田がフィニッシュポーズを取ると、観客席はスタンディングオベーションで讃えた。彼女の顔が涙でゆがみ、それから笑顔になって歓声に応えた。
「昨晩、たくさんの方から、笑顔が見たいとメールをもらった。だからお辞儀のときは笑顔になろう、と思っていました」
昨日とはうってかわり、記者たちに語る表情も明るく落ち着いていた。
「たくさんの方に、本当に励ましの言葉とかもらって、最後は『よし』と覚悟を決めて挑みました。昨日はすごく悔しい思いをして、心配してくださった方がたくさんいたと思う。でも今日はこうして自分の中で最高の演技ができて、少し恩返しが出来たかと思います」
「悔しさというより、言葉にならなくって」
前日のSPではすべてのジャンプで失敗して、16位というあり得ない位置から挑戦したフリーだった。
「(昨日は)悔しさというより、言葉にならなくって今まで何をやってきたんだろうと思いました。自分の気持ちがもう一つ大きく伸びきれなかったと思いました」
フリー前に佐藤信夫コーチにどんな言葉をかけられたのかと聞くと、こう答えた。
「今まで練習してきたことを信じてやれば大丈夫だから、何かあったら先生が助けにいく、って言っていました」と微笑んだ。